アミド窒素原子上に酸素原子や窒素原子を導入すると、通常のアミドとは異なり、有機金属試薬による求核付加反応が進行する。さらに第二の反応点となる隣接官能基を組み込んでおけば、アミドカルボニル基への求核付加反応を基盤とした連続反応への展開が可能となり、アミドの新分子変換が可能となる。最終年度である2021年度においては、各課題の研究成果をまとめ、学会発表を行い、学術論文としてまとめた。 ①求核付加-環縮小反応:N-イミノラクタムを用いた求核付加-環縮小反応については、N-アルコキシラクタムに比べて導入できる求核剤の適用範囲が拡大した。すなわちアリール基だけでなくアルキル基やアルキニル基も導入可能であることを明らかにし、研究論文として報告できた。 ②求核付加-骨格転位反応:光学活性な共役ラクタムを用いて、本連続反応を行えば、光学活性な3-ベンゾイルピペリジンが得られることを見出した。また、これまでの実験結果をまとめて学会発表を行った。 ③求核付加-転位反応:反応条件の最適化後、基質一般性を検討した結果、目的の生成物は得られるものの、転位体の収率が予想以上に向上しなかった。そのため反応条件の更なる改善が必要である。 ④求核付加-脱水反応:ラクタムα位の脱離基をクロロ基に変更すると、環縮小体ではなく、多置換エナミンが得られることを利用して、様々なβ-クロロエナミン合成に適用した。本成果も学会発表を行い、現在論文投稿準備中である。 その他、関連する研究成果についても学会発表および論文発表を行っている。
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