研究課題/領域番号 |
19K05469
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
森山 克彦 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (00509044)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハロゲン / 酸化反応 / ハロゲン化反応 / 極性転換 / ヘテロ環化合物 / 超原子価ヨウ素 / 転位反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、ハロゲンの酸化を利用した官能基化反応による新規含酸素ヘテロ環化合物の合成を目的とし、主に臭素とヨウ素を用いた反応を重点的に精査した。臭素の酸化を利用した官能基化反応として、脱芳香族化を伴う炭素―炭素結合形成反応による含酸素ヘテロ環化合物の合成を達成した。具体的に、N-シンナミル-(4-メトキシベンジル)スルホンアミドを臭化カリウム及び酸化剤であるオキソンとアセトニトリル及び水の混合溶媒中で反応させると、反応は円滑に進行し、目的のtrans-アザスピロジエノンが高収率及び高ジアステレオ選択的に得ることができた。この反応は、アミド誘導体以外にもエーテル誘導体でも適用可能であることがわかった。本反応は、生理活性化合物の合成に有用なジエノンを有するスピロ骨格の効率的な構築法である。一方、ヨウ素を利用した新規官能基化反応として、超原子価ヨウ素化合物を用いたアリール転位による含酸素ヘテロ環化合物の合成を検討した。N-シンナミル-(4-メトキシベンジル)スルホンアミドを用いて、[ヒドロキシ(トシロキシ)ヨード]ベンゼン(Koser試薬) と作用させたところ、アリール基が転位した1,3-テトラヒドロオキサジン誘導体が高収率で得られた。また、この生成物を単結晶X線構造解析により、立体構造を明らかにしたことで、反応機構を考察すことができた。さらに、この反応で得られた生成物の誘導化を検討し、様々なジアリール誘導体を合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、臭素の酸化を利用した脱芳香族化を伴う炭素ー炭素結合形成反応や超原子価ヨウ素を利用したアリール転位による分子内環化反応のような興味深い新規分子変換反応を見出すことができたことにより、本研究を順調に進展させることができている。一方で、これまで確立してきた触媒反応及び不斉反応や機能性含酸素ヘテロ環化合物の創製を探索する余地が残されているので、これらの課題を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策については、これまで達成できなかった有機触媒的官能基化反応や光学活性化合物を用いた不斉反応による含酸素ヘテロ環化合物の新規合成法の確立を目指す。さらに、これら反応による含酸素ヘテロ環化合物の合成に基づく機能性物質の創製へと展開し、物理化学、分析化学及び生化学的手法を用いた機能性の評価を行ない、その有用性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、ハロゲンの酸化を駆使した新規官能基反応による含酸素ヘテロ環化合物の創製において大きく進展することができた。当初の目的をより精緻に達成するために、引き続き本研究を推進する。次年度は、これまでに開発した分子変換反応の有機触媒反応や不斉反応の研究を重点的に行ない、含酸素ヘテロ環化合物の合成に基づく機能性物質の創製へと展開する予定である。したがって、新規触媒開発に必要な光学活性化合物を多種多量に必要とするため、当該助成金を次年度分として利用していく必要がある。また、研究に必要な実験・設備・分析機器はできる限り既存のものを利用して、研究経費の大部分を消耗品として使用する。本研究の円滑な実験遂行には、多種の消耗品(有機・無機試薬、ガラス器具類、シリカゲル等)が必要である。
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