研究実績の概要 |
まず最初に我々が目標とするのは、Ar-CH(NH2)-CF3型の構造を有するC2対称性のチオウレア類の合成である。我々が標的とするのは、Ar-C結合で自由に回転できることを考慮に入れて、Ar基としては単純なフェニル基やナフチル基だけではなく、対称型の3,5-ジブロモフェニル体を鍵化合物として調製し、これに対して様々なカップリング反応を駆使することで、Ar基を更に嵩高くした3,5-ジフェニルフェニル誘導体や、立体障害と電子的効果を同時に満足できる3,5-ビス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]フェニル誘導体の合成を行い、立体的な遮蔽効果がどのくらい発揮されるかについて検討を行って行く。その中で、まずは比較的容易に調製できると考えられたAr=Ph, 1-Naph, 3-Ph-C6H4-といった化合物群の合成から着手し、これらはいずれもジアステレオマー的にもエナンチオマー的にも純粋な状態で得ることに成功している。このように、いくつかの求めるチオウレアが合成できていることから、実際にこれらがどの程度の触媒作用を示すかについて、いくつかの基本的な反応を用いて調査をしており、少なくともある程度の触媒能力を持ち合わせていることが判明しているものの、エナンチオ選択性についてはまだ満足のいく所まで到達できていないのが現状である。そのため、更に立体障害が大きく作用するような、Ar=3,5-Ph2-C6H3という化合物の合成に、つい最近着手した段階である。
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