研究当初の時点では、文献上知られていなかったトリフルオロメチル基を含み、しかも炭素硫黄二重結合上にC2対称軸を有するチオウレアを合成し、その有機触媒としての能力を明らかにするためにいくつかの反応を試みたところ、いずれの場合にも望む反応は進行し、β-ニトロスチレンとアセチルアセトンとのニトロマイケル付加では、最大34% eeの立体選択性の発現を観測した。また、β-ニトロスチレンに対してインドールを作用させると20% eeの生成物が単離されるのみであったが、N-Bocイミンとニトロメタンの反応では、69%の収率で72% eeの生成物を得ることに成功した。
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