今後の研究の推進方策 |
容易に入手可能な5ー6員環化合物から中員環化合物への環拡大は、環歪みの増大により熱力学的に一般には困難である。今回我々は、環状1,3-ジケトンのモノビニル化によって生じた3-ヒドロキシ-3-ビニル-クロアルカノンに塩基触媒を反応させることによって、retro-aldol反応と分子内Michael付加反応が連続的に進行し、2炭素環拡大した中員環が生成するのではないかと考え研究を行う。 Vibralactone全合成は、活性メチンプロトンを有する共役1,5-ジカルボニル化合物とアルデヒドとの分子内アルドール環化反応を鍵工程として研究を行う。 nesteretal Aの生合成経路として提唱されているα―ジケトンであるデカンー2,3,8,9-テトラオンの分子内アルドール反応の位置選択性(5員環形成または6員環形成)をモデル化合物の反応によって確認する。 ブレンステッド触媒を用いるα―ジアゾエステルの活性化によるインドールのシクロプロパン化および1,4-シクロヘキサジエンへのC-H挿入反応を開発する。 セレノール(-SeH)基選択的なSnAr反応による芳香環を導入、酸化によるセレノキシドの脱離によってビニルグリシン残基を含むペプチドの合成後、オレフィンクロスメタセシスおよび還元を用いて化学修飾を受けたペプチドの網羅的合成法の確立を行う。
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