研究実績の概要 |
アルドール反応は炭素―炭素結合を構築するために頻用される反応のひとつである 。アルドール反応に用いられるエノラートの形成には、カルボニル基のα位プロトンを引き抜く強塩基が必要である。この反応において触媒量の塩基を用いた場合、アルドール反応によって生じるβ-ヒドロキシアニオンは、酸性度の低いアミドやエステルのα位プロトンを引き抜くほどの塩基性を有していない。そのため、アミドやエステルに対して触媒的にaldol反応を進行させることは難しいとされてきた。 我々は、触媒的かつ直接的アルドール反応において問題となる、触媒的エノラート形成の問題を別視点から解決する方法として、α,β-不飽和カルボニル化合物に対する求核剤のマイケル反応によって形成されるエノラートによるアルドール反応(マイケル-アルドール反応)に注目し、マイケル-アルドール反応を用いたpronucleophile、α,β-不飽和カルボニル化合物、アルデヒドの3成分タンデム反応の開発を行った。 その結果、2-ニトロプロパン、α,β-不飽和カルボニル化合物、2-ニトロベンズアルデヒドの3成分タンデム反応を行った。BTMG(Barton’s base)を触媒とし、エチルアクリレートを用いて反応させたところ、DMSOを溶媒として用いることにより、pronucleophileが多く存在する条件下においても分子間アルドール反応が良好な結果で進行することを明らかにした。 エチルアクリレートの代わりにN,N-ジメチルアクリルアミドを用いた場合においても、良好な収率で化合物が得られた。また、DMSO溶媒によってアミドエノラートの求核性が向上していることを明らかにした。
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