研究実績の概要 |
基質の高い反応性や溶媒の性質を利用した、効率的分子内反応による有用な炭素環、ヘテロ環形成反応の開発を行った。 最終年度の研究では、アリールプロパルギルエテントリカルボン酸エステル誘導体の反応で、DMSO中で80-110 ℃でアロイル基3,4-cis置換テトラヒドロフラン誘導体が30-54%の収率で得られた。さらにアルキンを利用する新規6員環合成を試みた。ベンズアルデヒド誘導体のメルドラム酸との縮合反応条件下で縮合反応、ヘテロDiels-Alder, 脱アセトン、水付加、脱炭酸が連続的に進行した含酸素6員環を含む三環性化合物が主生成物として得られた。 次に研究期間全体の研究成果について述べる。電子欠乏性アルケニルカルボン酸のアミド誘導体のルイス酸を用いる選択的分子内環化反応を見出した。分子間[2+2]環化付加反応でシクロブタンをルイス酸存在下で立体選択的に合成した。α-ブロモスチレン修飾アミンとエテントリカルボン酸との反応で、室温でアミド縮合、[4+2]付加環化を経てOBt置換ベンゾ[f]イソインドール誘導体が得られた。α-ブロモスチレン修飾フマル酸アミドをEt3Nとトルエン中110 ℃で加熱し、Diels-Alder/脱HBr/プロトン移動により、1,4-ジヒドロナフタレンが得られた。K,Rb,Cs炭酸塩存在下では、ナフタレン誘導体が得られた。種々の1,4-ジヒドロナフタレンのCs2CO3等との110 ℃での加熱でナフタレン誘導体が得られた。一方、アリールプロパルギルフマル酸アミドをDMSO中で160 ℃で加熱すると系内の水が関与した環化反応によりアロイル基trans置換ピロリジン誘導体が主生成物として得られた。アリールプロパルギルエテントリカルボン酸アミド誘導体の反応ではDMSO中で80 ℃でアロイル基cis置換ピロリジン誘導体が得られた。
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