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2021 年度 実績報告書

適応型化学反応制御を実現する集積型salen錯体触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05483
研究機関東京理科大学

研究代表者

今堀 龍志  東京理科大学, 工学部工業化学科, 准教授 (90433515)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード適応型化学反応制御 / 集積性触媒
研究実績の概要

本研究は、弱い分子間相互作用であるπ相互作用で集積した柔軟な超分子空間を触媒の反応空間に用いることで、反応基質・反応剤 に合わせて適切な反応空間を構築し、円滑に効果的な遷移状態を形成させる、適応型の化学反応制御を実現する分子触媒を開発することを目標とした。 2021年度は、前年度までに見出した、自己集積型Co(III)-salen錯体を触媒とするエポキシアルコールの分子内環化反応の特異なendo選択性の向上を目指し、反応温度や濃度等の反応条件の検討を行ったが、endo選択性の著しい向上は見られなかった。触媒の再設計を含めた戦略の見直しが必要である。また、前年度までに見出した、自己集積型Co(III)-salen錯体触媒による嵩高いアルコールを求核剤とするエポキシド開環反応の検討を行ったところ、添加剤によって反応収率が著しく向上することを見出したが、収率の向上とともに立体選択性は低下し、反応条件としては適していないことがわかった。嵩高いアルコールが求核剤として適用可能となったため、これまでに開発が行われていないアルコールの立体を選択する反応の開発を今後行う予定である。また、自己集積型Al(III)-salen錯体によるα,β-不飽和イミドの共役シアノ化反応の適応型制御についても反応基質適用性の拡大を行った。環状トシルアミドを有する反応基質にお対する反応の反応条件の最適化を進め、良好な立体選択性で反応が進行することを見出した。 現在、論文投稿の準備を進めている。電荷移動相互作用を用いた、Al(III)-salen錯体とホウ素-BINOL錯体の異種集積触媒によるアリル炭酸エステルのアリル位アルコキシ化反応を検討したところ、期待したアリル位アルコキシ化反応ではなく、アリル炭酸エステルの不斉エステル交換反応が進行することを見出した。今後、反応の詳細の解明と最適化を行う予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (11件)

  • [学会発表] 立体選択性を切り替える刺激応答性キラル補助剤の開発2022

    • 著者名/発表者名
      宮尾はるな、神出啓義、今堀龍志
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会(2022)
  • [学会発表] πドナーアクセプター相互作用を用いたCo(III)-サレン触媒によるメソエポキシドの効率的な不斉開環反応2022

    • 著者名/発表者名
      吉川浩平、岡崎大地、角ヶ谷幸佑、今堀龍志
    • 学会等名
      日本化学会第102春季年会(2022)
  • [学会発表] 太陽光を用いるCO2化学吸収法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      今堀龍志
    • 学会等名
      日本化学会 新領域研究グループ「精密物質変換のための分子空間化学」 2021オンラインシンポジウム
  • [学会発表] 自己集積性Al(III)-サレン錯体を触媒とするα,β-不飽和イミドの不斉共役シアノ化反応の適用性の拡大2021

    • 著者名/発表者名
      岩﨑寛人、北原佑輔、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] 自己集積型キラルTi錯体を触媒とするスルフィドの不斉酸化反応の開発2021

    • 著者名/発表者名
      酒井一輝、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] πドナー・アクセプター相互作用を活用した異種集積型金属錯体による新奇触媒反応の開発2021

    • 著者名/発表者名
      小湊雄一、角ヶ谷幸佑、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] 集積性混合金属触媒システムによる効率的Diels-Alder反応の開発2021

    • 著者名/発表者名
      遠藤諒、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] 立体選択性を切り替える刺激応答性DMAP触媒の開発2021

    • 著者名/発表者名
      宇佐美拓、神出啓義、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] 光によるCO2吸収・放出・利用技術の開発:CO2放出の最適化とCO2変換の検討2021

    • 著者名/発表者名
      宇野修平、本山遼、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] キラリティーを制御する刺激応答性アミン触媒の開発2021

    • 著者名/発表者名
      真崎瑛斗、今堀龍志、神出啓義
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021
  • [学会発表] 芳香族のC-Hホウ素化反応の位置選択性を操るアゾベンゼン連結美ピリジン-Ir/Al触媒の開発2021

    • 著者名/発表者名
      大森幹太、今堀龍志
    • 学会等名
      第11回CSJ化学フェスタ2021

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公開日: 2022-12-28  

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