本研究計画では、球状構造をもつ金属多核錯体や金属クラスターの集合固体を研究対象として、2価以上の電荷をもつ金属イオンが運動種となる固体イオン伝導体の開発を目指した。まず、多段階の金属イオン集積化反応により、形状や組成の異なる数種の新規球状錯体を合成した。さらに、得られた集合固体に対して多価金属イオンを浸潤したところ、いくつかの化合物において多価イオンの拡散挙動が観測さた。特に、L-システインをもつアニオン性の金属錯体の集積体結晶を希土類酢酸塩の溶液に浸した場合には、希土類イオンが結晶構造内部で縮合反応を起こし、クラスター構造を自発的に形成する、という興味深い反応を観測した。
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