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2019 年度 実施状況報告書

放射光を利用したイオン交換ゼオライト系の遠赤外領域その場観察と解析法としての確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K05499
研究機関岡山大学

研究代表者

黒田 泰重  岡山大学, 自然科学研究科, 特任教授 (40116455)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード遠赤外線吸収測定 / ゼオライト / 放射光 / 400ppm程度の二酸化炭素吸着 / イオンー骨格相互作用
研究実績の概要

固体表面に担持された金属や金属イオンと反応分子との相互作用に関する情報を得るために,放射光利用による,in situ条件下での遠赤外線吸収スペクトル測定法という新しい研究手法開発に挑戦する.放射光を利用した遠赤外線領域の振動スペクトル測定は,高感度・高分解能な実験が可能であり,大変魅力的である.しかし,この領域の真空条件下でのその場観察測定には,遠赤外線を透過できる材料とその耐熱性・耐真空性(試料処理過程で高温・真空排気が必要であり,しかもin situ条件下での気体吸着が必要である)の条件を克服することが不可欠であり,その克服が困難であるために,遠赤外線領域の真空条件下でのその場観察測定は世界的にもほとんど例がない.この新手法を確立し,それを吸着・触媒系へ適用し,金属クラスターや交換イオンなどの活性サイト周りの結合状態に関する知見,および,その後の気体吸着による結合状態の変化についての知見を得る.このようにして得られた結果と計算化学的手法を組み合わせた研究により,活性サイトの状態や活性サイト上における反応分子との相互作用を解明し,新物質合成や吸着・触媒物質のデザイン・合成への展開を図ることを目的としている.まず,ゼオライトによる,室温,濃度5000 ppm程度の低圧条件下でのCO2固定と試料の容易な再生に挑戦した.SPring-8の課題申請を2019年度の前期・後期に行い,遠赤外線領域の高感度・高分解能測定をビームライン(BL-43IR)で行った.その結果,ゼオライト-CO2吸着系について,有益な情報を得ることができた.推定できるモデルを構築し,それらについて計算化学的アプローチを行い,実験結果と計算結果の比較から,妥当な相互作用モデルの構築に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

まず、SPring-8での共同利用実験課題に採択(2019年度前期・後期)され、放射光利用による遠赤外線領域の測定実験を行うことができた。その際、in situ条件下で、真空熱処理・ガス吸着・その後の真空排気過程での測定が可能となるセルを作製した。そのセルを用いて、ゼオライト―CO2吸着系での測定が可能であることを明らかにできた。そして、SPring-8での高輝度な光源を利用した遠赤外線領域の測定を行い、カルシウムイオン交換A型ゼオライト-CO2系について、特異な吸収バンドの検出にに成功した。この実験結果をベースとして、DFT計算を行い、吸着モデルを構築することができた(現在、論文執筆中)。以上のように、申請・提案した方法の有用性を、世界で初めて、確認できた。

今後の研究の推進方策

異なるタイプのゼオライトを用いることによって、類似した現象の確認をおこない、提案モデルの妥当性をさらに評価する。
ゼオライト中に形成された金属クラスター種について、遠赤外線吸収測定を行うことによって、モデル構築のために有用な情報が得られることを示す実験を検討中である。現在の計画では、それらの系について貴ガス吸着をおこない、貴ガスと金属クラスターの相互作用モデルの提案において、遠赤外線吸収スペクトル測定の有用性を示していく予定である。
これらの成果に立脚して、放射光を使用した遠赤外線領域の測定実験の重要性を提案していきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 室温、0~5000ppm領域でCO2に対して高い吸着特性を示す5A型ゼオライト2019

    • 著者名/発表者名
      平木英、織田晃、大久保貴広、黒田泰重
    • 学会等名
      第33回日本吸着学会研究発表会

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公開日: 2021-01-27  

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