研究課題/領域番号 |
19K05507
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
倉橋 拓也 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90353432)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸素酸化 / ファインバブル / 活性酸素 / 高圧反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、水溶液中に浮遊する酸素ガスのファインバブルに100MPaまでの高圧を印可することで、酸素酸化を進行させることを目標としている。本年度は、ファインバブル溶液を静水圧加圧可能な装置の開発を検討した。1つの方法として、基質を混在させた酸素ガスファインバブル水溶液をアルミパウチで密閉して、その外部から静水圧加圧装置で加圧することを考えた。静水圧加圧装置は市販品として入手可能なものがあるが、非常に高価であるので期待通りの実験が可能であるかどうかを、製造メーカーの東京支社で装置をレンタルして検証した。 そこで実験室で酸素ファインバブル水溶液を調整してアルミパウチで密閉した上で、東京に持参して加圧実験を行った。当初、加圧実験の実績のないアルミパウチの破損等のトラブルを懸念していたが、問題なく加圧実験を行うことができた。アルミパウチの利点は内部のガスが外部に全く漏れ出さない点にあって、今回もメタンガスで調整したファインバブル溶液を7日間経過してから定量したが全くメタン量の低下はなかった。 残念ながら、酸化反応の進行はほとんど観測されなかったが、これはファイバブル溶液の移送中にアルミパウチ内で液体と気体が分離してしまった可能性や、酸素ガス量に比べて基質量が過大だった可能性が考えられる。加圧装置を導入してから、より詳細な検討を行いたい。 もう一つの方法として、酸素ファインバブル水溶液を連続的に送液しながら、背圧弁で圧力印可することも検討した。汎用品の液体クロマト用のポンプを利用すれば、比較的に安価で反応システムを構築することができる。現在、30Mpa程度まで加圧することを目標に、装置の構築に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、愛知県岡崎市の分子科学研究所から長崎県の長崎県立大学へ実験室を移転した。分子科学研究所で薬品の廃棄や物品の梱包作業を行ったため、2019年12月以降、研究に当てる時間を十分に取ることができなかった。特に、薬品の廃棄は搬出日が決まっているので、1月半ばには全て廃棄する必要があった。それ以降は化学実験を行うことが全くできなかった。 しかしながら装置開発については、静水圧加圧装置をレンタルして検証実験を行ったり、液体クロマトの送液ポンプを使った装置の組み立てに取り組んだ。2020年度の化学反応実験の確固たる足場を築くことができたと考えており、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究に使用する装置については概要が固まってきたので、反応装置の構築に本格的に着手する。汎用の液体クロマトのポンプを活用する方法についてはすでに検証に着手しており、30MPa加圧下での酸素酸化反応の検討に進んでいきたい。当初の検討では、比較的に酸化されやすいスルフィドやフェノール類の酸化反応を検討する。 現在、出張を伴う打ち合わせが困難な状況にあって、100MPaまで加圧可能な静水圧加圧装置の導入計画はストップしたままになっている。今後の状況を見ながら、夏ごろまでには手配できるように、メールや電話で打ち合わせを進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、静水圧加圧装置をレンタルして実験操作を検証したのちに、すぐに発注する予定にしていた。しかしその時点で納期を確認したところ、2020年1月以降になるとのことであった。2020年3月には、愛知県岡崎市の分子科学研究所から長崎県の長崎県立大学へ実験室を移転する予定であったので、移転に伴う混乱を避けるために2019年度の発注を断念した。
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