研究課題/領域番号 |
19K05507
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
倉橋 拓也 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90353432)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ファインバブル / 空気酸化 / 活性酸素 / 高圧反応 |
研究実績の概要 |
酸素ガスファインバブルを導入しながら0.3MPa程度まで加圧可能な装置を組み立てて、有機化合物の酸化反応を検討した。この装置では500mL程度の水溶液を5L/minで循環させながら、正確な量の酸素ガスを導入してファインバブル化することができる。 第一段階として、水に可溶なアルコール類を使った反応実験を行った。500mLの水溶液に1mLのメタノールを溶解させて、5mL/minで継続的に酸素ガスを導入したところ、数時間のタイムスケールで水溶液中のメタノール量が減少していくことがわかった。メタノール量を時間に対してプロットすると、指数関数でフィット可能で一次反応的な挙動を示した。メタノールが酸化されて生成すると想定されるホルムアルデヒドやギ酸を定量しようと試みたが、水溶液中からは検出されなかった。 より高沸点のプロパノールやブタノールについて同様の検討を行った。その結果、メタノールと同様に水溶液中の濃度が指数関数的に減少することがわかった。プロパノールやブタノールに関しても、酸化生成物として想定されるアルデヒド類は検出されなかった。 以上の結果から、加圧した酸素ガスファインバブルとアルコールとの反応は酸素ガスによる酸化反応ではなく、ガス導入によってアルコールが気相中に放出されたのではないかと推測している。しかしブタノールは沸点が100度以上で容易には揮発しないことを考えると、ややこの推測にも矛盾する点があるように思われる。今後、気相中に放出されたアルコールを捕捉するなどして、新しく見出した現象を慎重に検討していきたい。 今年度は、酸素ガスの代わりにオゾンガスを導入することで、活性酸素と有機化合物の反応を検討した。装置的にはオゾンファインバブルの実験も大きな問題なく実施できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自に構築した気液反応装置が順調に稼働している点を挙げたい。当初この装置では、反応溶液の温度が意図せず60度程度まで上昇することが問題点になっていたが、効果的に冷却する改修を加え30度での反応実施が可能になった。またガス導入に関して、当初は10mL刻みの概算量であったが、反応実験を進める中でガス導入量が決定的に重要であることがわかってきた。そこでマスフローコントローラーを使って厳密にガス量を制御して導入するような改修も行った。現在では、0.5から50mL/minまで、0.1mL/min刻みでガス量制御が可能になっている。このようなガス量制御は溶液反応で行われることは極めて稀であり、その結果、本研究では目視では判別できない5mL/min領域で新しい現象を見出すことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの反応実験では、反応溶媒に主として何も加えない蒸留水を用いてきた。蒸留水しか用いなかったのは、ガス量や反応温度など、反応結果に大きな影響を及ぼす因子が十分に制御できなかったためであるが、この問題を解決することができた。今後、pHや共存塩類などの効果を幅広く検討して、酸素ガスから活性酸素を生成する効果的なルートを探索したい。 また酸素ガスファインバブルの反応性が不十分である場合には、オゾンガスファインバブルを活用する反応実験も検討したいと考えている。すでに装置的にはオゾンガス導入も可能となっており、必要に応じて反応検討に着手したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度4月に愛知県岡崎市の分子科学研究所から長崎県長与町の長崎県立大学に異動した。実験装置の再立ち上げに時間を要したため、予定していた実験計画を相当程度絞り込んだ。いくつかの項目は次年度実施としたため、次年度使用額が生じた。
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