研究課題
今年度は電極材料の電子状態分析法の開発に注力し研究をおこなった。その研究の一つとして電極活物質の酸化・還元軌道の解明があり、今年度はリチウム過剰性正極材料の高容量化の鍵となる「孤立した」酸素2p軌道の可視化に成功した。また、酸素2p軌道が孤立化するメカニズムとして、リチウムの挿入により遷移金属イオンの3d電子と酸素2p電子との間でクーロン反発が起こり3d軌道が局在化することで、遷移金属イオンの3d軌道と酸素2p軌道との結合が弱まることによることを明らかにした。さらに磁気コンプトン散乱法により得られるスピン磁気モーメントが活物質の酸化・還元種の変化に敏感であることを示唆する結果が得られた。以上の成果は電極反応メカニズムの詳細な理解を与え、コンプトン散乱を用いた分析法により電極材料の電子状態を解明できることを示した。
3: やや遅れている
Na3Biの合成が十分にできなかったためである。
Na3Bi試料を取得し、放射光実験を行うことを考えている。
世界的なコロナ禍の影響により国際会議などが全てオンラインになったことが最も大きな原因である。次年度は、本研究課題で得られた成果の論文投稿費や試料作製に必要となる備品などの購入に充てたいと考えている。
すべて 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
Applied Physics Letters
巻: 118 ページ: 161902~161902
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https://www.st.gunma-u.ac.jp/20210420-eisuzuki/
https://www.st.gunma-u.ac.jp/20210610-eisuzuki/