研究課題
ナトリウム二次電池は、資源の偏在がないナトリウムが電荷担体となること、電極にコバルトなどの希少金属を使用しないことから大型蓄電池としての応用が期待されている。しかし、本格的な実用化には至っておらず、最適な電極材料の探査が続いている。このような背景のもと、今年度は、ナトリウム二次電池負極材料NaxBi(ナトリウム組成x=1, 2, 3)にコンプトン散乱法を適用し、コンプトンプロファイルの測定を行った。試料はNaxBiの粉末試料であり、ナトリウム組成は化学的に変化させた。試料の構造をX線回折で測定した結果、いずれのナトリウム組成の試料も単層構造であることを確認した。コンプトン散乱実験は、SPring-8の高エネルギーX線非弾性散乱ビームラインBL08Wにて行った。180keVに単色化された入射X線を試料に照射し、試料から散乱角178度方向に散乱されるX線のエネルギースペクトルをGe半導体検出器で計測した。コンプトンプロファイルの測定は10Kの低温下で行った。実験より得られたコンプトンプロファイルはNa組成の違いによりプロファイル形状の変化を示し、Naの挿入脱離によりNaxBiの電子状態が変化していることを示唆する結果が得られた。現在、海外の理論計算グループとの国際共同研究により本物質のNa挿入脱離による電子状態の変化を解明しているところである。本研究によりNa挿入による電子状態の変化が解明されれば、ナトリウム二次電池の新たなセンシング法としての基礎を確立することができる。
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Crystals
巻: 12 ページ: 824~824
10.3390/cryst12060824
Condensed Matter
巻: 7 ページ: 47~47
10.3390/condmat7030047