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2021 年度 実施状況報告書

有機表面修飾Ptナノ粒子触媒の酸素還元反応におけるin-situ酸素種評価法開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K05522
研究機関静岡大学

研究代表者

宮林 恵子  静岡大学, 工学部, 准教授 (50422663)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード電気化学交流インピーダンス / 表面修飾 / 吸着酸素種
研究実績の概要

有機化合物で修飾した白金ナノ粒子は、酸素還元反応の電極触媒として高活性を示す。そのため、有機化合物による表面修飾が触媒特性向上手法として期待されているが、その特性向上機構は明らかでない。本研究では、酸素原子を含む反応基質や触媒被毒種に着目し、修飾触媒の界面評価法を確立することで、有機表面修飾による特性向上機構を解明することを目的とした。2021年度は、2020年度までに合成したコロールをスピンコート法で修飾した電極を作製し特性評価した。未修飾電極と比較し、修飾電極では、電気化学活性比表面積(ECSA)が減少したことから表面修飾されていることを確認した。修飾剤の種類によりECSAの減少率が異なり、フッ素化されたコロールでは、触媒表面への被覆率が上がることを明らかにした。フッ素を導入することで分子のパッキングが改善され、修飾密度が向上するためと考えられる。XPSで評価した修飾電極の電子状態は、未修飾と比較し還元側へピークがシフトしており、コロールからの白金電極への電子供与が認められた。COの電気化学酸化によるOHの吸着特性評価では、OH吸着が抑制され酸化電位が高電位へシフトすることを確認し、高い触媒特性を示すことが期待された。触媒特性の向上が認められたものの、電極触媒特性評価後に修飾剤の脱離が認められたため実際の修飾剤量が不明であることから、修飾剤が安定に存在する電位範囲を探索した。0.1-0.8Vでは、修飾剤が再配列し電極表面被覆率が向上したが、上限電位を0.9V以上では修飾剤の脱離が生じた。0.9V以上では修飾剤の酸化や電極表面への酸化被膜の形成により修飾剤が脱離することが分かった。今後は、コロールをより強固に電極表面へ修飾するため構造を新たに検討し、官能基としてアミノ基を有するコロールを合成し、電解重合により電極修飾を検討し、開発したEIS測定を適用する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

白金電極表面へコロールまたはポルフィリン溶液をスピンコート法による被覆し修飾電極を調製し、XPS測定から、N1s由来のピークが確認されコロールまたはポルフィリンで修飾されていることを確認した。COの電気化学的酸化反応の結果から、修飾電極ではCO酸化電位が高電位側へシフトしOH吸着が抑制されていることを確認した。修飾電極の作成は順調に進んだものの、0.9V以上において表面修飾剤の脱離が認められたため電気化学交流インピーダンス法での測定には至っていないため。
修飾剤の安定性を向上するため電解重合による修飾の可能性について検討を行った。アミノ基を官能基として有するコロールでは電解重合に関する報告(A. Friedman et al, ACS Catal. 2018, 8, 5024-5031)があることから、アミノ基を有するコロールを合成し、白金電極上で電解重合可能であることを確認した。

今後の研究の推進方策

電解重合で表面修飾した電極のEIS測定により、吸着酸素種を評価する。評価が可能であれば、異なる種類の修飾剤へ適用する。EISへの適用が困難な場合も考え、全反射吸収-表面増強赤外分光(ATR-SEIRAS)測定について検討する。

次年度使用額が生じた理由

感染症に伴う業務量の増加および、研究進捗の遅れにより次年度使用額が生じた。使用計画としては、電極の表面修飾用の試薬および全反射吸収-表面増強赤外分光法のためのプリズムの購入に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 酸素還元反応電極触媒の劣化過程の同一視野TEM観察2022

    • 著者名/発表者名
      宮林恵子
    • 学会等名
      日本化学会春季年会

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公開日: 2022-12-28  

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