研究課題/領域番号 |
19K05527
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
宗 伸明 佐賀大学, 農学部, 教授 (90336008)
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研究分担者 |
鎌田 海 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (90315284) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 比色分析 / 分子インプリントポリマー / 西洋ワサビペルオキシダーゼ / 無機ナノシート / 蛍光分析 / ケルセチン / 卵白タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究では、分子インプリントポリマー(MIP)により酵素/無機ナノシート複合体の表面を被覆した材料を開発し、食品成分の新規比色・蛍光分析法への応用を目指した。前年度までに、ケルセチンをテンプレートとして作製したMIPを表面に被覆した西洋ワサビペルオキシダーゼ/チタン酸ナノシート複合体を作製し、このMIP被覆HRP/TiOx複合体を用いた比色分析系における検出能について検討を行った。そこで、本年度はまず、本比色分析系におけるケルセチン選択性について検討を行った。本MIP被覆HRP/TiOx複合体に対し、ケルセチン以外の生体関連分子を加えてインキュベート後、グアイアコールと過酸化水素を加えて発色反応を行った。その結果、グルコース、セリン、アルギニン、レクチンは、発色反応に基づく470nmにおける吸収変化に殆ど影響を与えないことが確認できた。一方、ケルセチンと類似した構造を有する、ルテオリン、ナリンゲニン、カテキン、ルチンについては、発色反応に基づく吸収変化に影響を与えたが、その大きさはケルセチンと比較すると小さかった。従って、本複合体は、基本的なケルセチン選択性を有していると考えらえる。また、本複合体の比色分析から蛍光分析への拡張も検討した。本MIP被覆HRP/TiOx複合体に対し、種々濃度のケルセチンをインキュベートした後、蛍光基質と過酸化水素を添加して蛍光測定を行ったところ、ケルセチン濃度に依存した蛍光強度変化が観測され、本複合体がケルセチンの蛍光分析においても有用であることが示された。一方、ケルセチン以外の食品成分として卵白タンパク質に着目し、これをテンプレートとしたMIP被覆HRP/TiOx複合体を作製した。検討の結果、この複合体は卵白タンパク質の分析用材料として応用できる可能性を有しており、本手法が、他の食品成分の分析システム構築にも有用であることが示唆された。
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