研究課題
これまでにDNAの特殊構造を特異的に蛍光検出する方法について検討を行なってきた。すでに小分子リガンドとしてDNAのシトシンバルジ構造(C-バルジ構造)に特異的に結合し、特徴的な蛍光を示すDANPを用いた核酸の新しい検出法について検討している。この研究課題では、新たにDANPとインピーダンス分光法(EIS法)を組み合わせて高感度の検出法の開発を検討した。EIS法では電極と[Fe(CN)6]3-/4-の間で電子の授受が行われ、その間の抵抗をシグナルとして検出する。我々は、ここにDNAPをメディエーターとして加えることを考えた。DANPを加えると電極と[Fe(CN)6]3-/4-の間にDANPが入り、大きくその抵抗値が変わる。グラッシーカーボン塗布電極を用い、[Fe(CN)6]3-/4- 3 mMとDANP 3μM を含むpH7.0のリン酸バッファーにC-バルジ構造のDNAを加えていくと、DNA添加前に比べて抵抗値が大きく変化することがわかった。一方、完全相補的なDNAの場合、DNAの添加前後で抵抗値はほとんど変わらないことから、このEISスペクトルの変化は、電極表面の近くに存在していたDANPがC-バルジ構造と結合して電極表面から遠ざかることによる変化と考えられる。また、他のアデニン、チミン、グアニンバルジ構造ではシグナルの変化が完全相補的なDNAとほぼ同じであったことから、この方法によりC-バルジ構造を持つDNAを特異的に検出できることが示唆された。
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Ruthenium - Materials Properties, Device Characterizations, and Advanced Applications
巻: 1 ページ: 1-13
10.5772/intechopen.110360