研究課題/領域番号 |
19K05538
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 瑞己 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80793231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 光制御 / 抗体 |
研究実績の概要 |
本年度は光機能性抗体(以下,光ケージド抗体)分子の開発および機能評価を行った.前年度までに,β2ARに対する可逆形・不可逆型光ケージド抗体については作成・機能評価が完了している.そこで本年度では内在性の転写因子p53に対する可逆型ケージド抗体について開発を進めた.具体的には,まずp53の機能評価のためp53の活性依存的に発光タンパク質を発現するレポーター遺伝子の開発を行った.その結果,Nutlin-3aによるp53活性化時には発光値が上昇し,p53活性を阻害する抗体を導入した際には発光値が減少するレポーター系を構築することに成功した.また,p53に結合しない抗体を導入した場合には発光値が変化しないこともあわせて確認した.次に,光照射により可逆的に構造変化する光受容体タンパク質を抗体と融合した候補分子を数十種類用意した.細胞内に候補分子の遺伝子とレポーター遺伝子導入し,光照射に伴うp53活性の変化を発光値により定量的に評価した.その結果,光照射時に発光値が減少する分子を同定した.次に,Nutlin-3aによる活性化条件下で光照射を行ったところ,同様に発光値が減少する様子が確認できた.さらに光依存的なp53への結合を評価するため,共免疫沈降実験を行った.その結果,光ケージド抗体はp53と光照射時に相互作用することが明らかとなった.以上のように,同じ設計原理でβ2ARとp53の活性を光照射依存的に阻害する光ケージド抗体を作成し,基礎的な機能評価が完了しつつある.一方で,アップコンバージョンナノ粒子によるアップコンバージョン光の活用についても検討した.その結果,アップコンバージョン誘導時に照射する近赤外光により,内部シグナルが擾乱される可能性が明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画ではアップコンバージョン光によって光機能性抗体を駆動することを試行する予定であった.その結果,アップコンバージョン光を誘導するのに必要な近赤外光照射によって内部シグナルが擾乱される可能性が明らかとなり,研究方針として適切でない可能性が示唆された.そこで,他のタンパク質を対象とした光機能性抗体の開発をすすめ,機能評価を進めた.
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今後の研究の推進方策 |
今後はp53に対する光ケージド抗体について光照射によるp53への結合の可逆性の検証を行う予定である.具体的には,光照射後に暗所下でのインキュベーション期間を設定し,サンプル回収を行ったのち,免疫沈降実験により検証する.データが出揃った段階で,論文として報告する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による研究進捗の遅れによる.
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