研究課題
1.0E+12の多様性を有する核酸ライブラリーを用い、まずPD-L1に結合しない核酸の除去を目的とした予備選択をPD-L1を固定化した磁気ビーズを用いて通常のSELEX法の手順にて行った。次に、合成したアントラセンカルボン酸活性エステルと5’末端アミノ化フォワードプライマーとのカップリングにより、フォーワードプライマーにアントラセンを導入した。これを用い、予備選択にて得られた核酸をPCRで増幅することによって、ライブラリーの5’末端にアントラセンを導入した(Ant-Lib)。また、アントラセン活性エステルと3’末端アミノ化抗PD-L1アプタマーとのカップリングにより、3’末端にアントラセンを有する抗PD-L1アプタマー(Ant-PD-L1)を得た。続いてPD-L1上でAnt-PD-L1の近接位に協同的に結合するAnt-Libの取得を試みた。まず、PD-L1とAnt-PD-L1を結合させ(PD-L1は担体等に固定化せず、溶液中で結合させた)、そこにAnt-Libを添加し、30分間37度でインキュベートした。そこに366 nmのLED光を30秒照射した後、ビオチンを末端に有するAnt-PD-L1の相補鎖を加え、アニーリングし、ストレプトアビジンカラムにより精製した。そのPCRによる増幅産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った結果、目的物と想定される分子量にバンドが確認された。
2: おおむね順調に進展している
各DNAコンジュゲートの合成を終え、タンパク上での光ライゲーション産物、つまり近接結合したアプタマー対となるものが得られていると想定されるデータを得たため。
今後、結合親和性や結合位置に関与する淘汰圧を強めながら、この操作を繰り返すことでAnt-PD-L1の近傍位に強く結合しうるアプタマーが取得されると期待される。その後、SPRなどを用い、得られたセカンダリーアプタマーのPD-L1に対する結合定数を求める。連結型バイナリー化により、アプタマーの結合親和性が連結前より向上したことを確認する。協同的認識型バイナリー化においては、両者の近接末端同士にそれぞれFRETドナーとアクセプター(FITC、TAMRAなど)を修飾して用いる。大過剰のマトリックス(BSA、血清培地など)共存下、レシオ分析によってバイナリー検出の高選択性を実証する。機能導入型バイナリー化のモデルとして、アントラセン修飾バイナリーアプタマーの結合親和性が光照射により可逆的に制御できることを実証する。
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