研究課題
本研究は,細胞を電気的に回転させその回転速度から,白血球のT細胞の免疫的な活性化を標識せずに分析する方法の確立を目的とする.この目的を実現するために,CAR-T細胞の作製とその電気回転評価および,マイクロウエル型電気回転デバイスの開発を行った.まずは,免疫活性化の電気回転での検出を実証するために,T細胞培養株であるJurkat細胞の活性化に伴う,電気回転速度の変化を計測した.Ionomycinとホルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)を加えた結果,インターロイキン(IL-2)の分泌を培養上清のELISA分析によって確認できJurkat細胞の免疫的な活性化の誘導に成功した.この活性化されたJurkat細胞の電気回転計測を行った結果,活性化前と比較して回転速度が有意に減少し,T細胞の免疫的活性化の電気回転検出に成功した.この回転速度の減少は細胞膜容量の減少を示し,細胞膜の平滑化や細胞膜のイオン透過性の向上を示すが,その原因の解明は残課題である.CAR-T細胞を作製するためにCD33抗原に対する第二世代型のCARを発現する遺伝子を人工合成した.CAR遺伝子をエレクトロポレーションによってJurkat細胞へ発現させた結果,5~10%程度の導入効率でのCARの発現が確認できた.現在,CARを発現させたT細胞,CD33抗体で刺激したCAR-T細胞の電気回転計測を実施している.抗原刺激に伴う,回転速度の変化の経時計測のために,マイクロウエルを持つ電気回転デバイスを開発した.マイクロウエルの上下面に電極を配線させ,マイクロウエルに捕捉された個々の細胞へ電気回転計測が誘導できる.本デバイス構成によって,免疫活性化に伴う回転速度の変化をリアルタイムに検出でき,より迅速に免疫応答を示したT細胞の識別が達成できる.このデバイス構造は世界初の構造であり,知財の出願を達成した.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
Biosensors and Bioelectronics
巻: 209 ページ: 114250~114250
10.1016/j.bios.2022.114250
Analytical Sciences
巻: 38 ページ: 235~239
10.1007/s44211-022-00072-z
巻: 37 ページ: 803~806
10.2116/analsci.21C002