研究実績の概要 |
DNAの塩基配列を鋳型として、相補的なRNAが合成されることで遺伝子が転写される現象に着目し、共重合体中の特定のモノマーのブロックを鋳型として「相補的に結合する官能基を有するモノマー」を作用、重合することで共重合体中のブロックを転写し、転写重合体について機器分析を行い、その分子量分布から鋳型となった共重合体のブロック性を解読することを目指している。 アルコールはカルボン酸とエステル結合を形成する。アルコールを官能基として含む高分子にアクリル酸をエステル結合させ、未反応のアクリル酸を除去したのちに重合させることで転写できると期待される。アルコールを官能基として含む高分子としてポリビニルアルコールがあるが、市販のポリビニルアルコールは鹸化が不十分であったり、タクティシティの乱れがあったりして、それらが正確な転写の妨げとなる可能性がある。そこで、これらの問題がない、アルコールの位置、立体が完全に制御されたモデル化合物として糖アルコールおよび高アルコールについて、NMR(1H, 13C, H-H COSY, HMQC)測定 、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF/MS)による構造情報の取得を検討した。糖アルコールの一種であるエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、アラビトール、ズルシトール、アドニトール、アリトールは両末端の-CH2OH)基の間に-CH(OH)-が連なっているが、不斉構造に由来するNMRのシグナルの分レンツが複雑であった。一方ブタンジオール、2,5ペンタンジオールはポリビニルアルコールと同様の-CH2-CH(OH)-ユニットが2つ連結した構造を有し、糖アルコールより単純なNMRスペクトルを示した。これらの化合物のビニルエステル化反応の文献調査を行った。
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