ポリアリルアミンは、カチオン性の水溶性高分子であり、酸や金属イオンの捕集剤、架橋剤、抗菌剤、繊維表面の改質剤などさまざまな機能を示し、機能性高分子として様々な分野で使われている。 この高分子を本研究の検討対象とするため、NMRによりその構造解析を行った。アミノ基がプロトン化されていないポリアリルアミンの重水中でのプロトンNMR測定ではブロードなシグナルを与えた。これは高分子の親水性が十分でなく、溶媒中での運動性が低かったためと推測される。そこで、塩酸を加えて、測定を行ったところ、十分にシャーブナシグナルを与えた。すなわちアミノ基がプロトン化されたことで、高分子の親水性が上がり、溶媒中での運動性が上がったたと考えられる。一方で、主鎖骨格中のメチンプロトンが隣接する主鎖骨格中のメチレンおよびアミノ基に隣接するメチレンのプロトンと比較してブロードであった。その原因として、タクティシティーやHead to HeadおよびHead to Tailの頭尾接続の異性体が考えられる。次に分子量1000の高分子のDOSYを行ったところ、拡散係数0.08*10^-9 m^2/sに高分子のシグナルが観測されたほか、拡散係数0.60*10^-9 m^2/sに未反応のモノマーのシグナルが観測され、高分子とモノマーの混合物であることが分かった。 さらにポリアリルアミンのアクリル酸あるいはメタクリル酸アミド化反応させ、重合反応による転写を行うため、そのアミド化および重合反応条件について文献調査を行った。
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