研究実績の概要 |
1) K2CO3やNa2CO3はCO2の回収量は多いが、反応速度が遅いとか再生温度が高いといった問題点がある。この問題を克服するために、これまでに炭素とのコンポジットを調製したり、異種原子であるMgをドープしたりすることで構造の活性化を誘起し、CO2回収と再生において効率的なプロセスになることを確認していた。本年度はNa2CO3を炭素とのコンポジットにする際に、Mgを少量加え、MgドープしたNa2CO3の炭素とのコンポジット化によるCO2回収反応速度の向上と再生温度の低下について検討した。その結果、MgをドープしたNa2CO3の炭素コンポジットは、反応速度の向上と再生温度の低下において有意な効果があることを認めた。 2) プラズマCVD(PACVD)装置を作製し、アセチレンとアンモニアを原料に鉄基板に窒素ドープカーボンを形成した薄膜を調製した。さらに同様のPACVD装置でターゲットを銅にして金属銅微粒子を析出させ、Cu/N-C電極を作製した。窒素と炭素の生成条件は一定にし、銅のCVD(Cu-CVD)の条件を変え、異なる電極を調製し、CO2電気化学還元について検討した。Cu-CVDを100、200、400秒間施した電極で6時間の電気化学還元行うと、水溶液からは有機物の生成に関係する白濁が見られ、気液面には有機物が濃縮した層が観察された。これら電極によりCO2から有機物の生成の可能性が示唆された。 3) 柔軟な構造を持つELM-11, ELM-12及びELM-13を用い、異なる組成比(N2:O2=1:1,7:3, 8:2, 9:1, 95:5, 98:2)の混合ガスに対する77 Kにおける吸収等温線を測定した。 N2:O2=9:1の混合気体であっても純O2の等温線に似た挙動を示し、高選択的O2吸収の可能性を示した。これらELMの吸着構造を仮定して、分子吸着シミュレーション法により酸素の選択性について検討し、実験結果との比較を行った。
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