研究実績の概要 |
(1)Cs揮発実験:粒径を75μm以下に分級した市販の真砂土に,非放射性CsであるCs2CO3を添加し1350℃で60min溶融し模擬汚染土壌を作製した。開口部面積の異なるB1るつぼ(15.9cm2)と5Bボート(20.4cm2)を使用し,Cs揮発が起こる界面の表面積の違いによるCs揮発挙動を調べた。B1るつぼを用いた場合,模擬汚染土壌6 gに対して融剤と塩化物を添加した。溶融後B1るつぼ,5Bボートに残った固体残渣(スラグ)を回収した。回収したスラグ中のCsを蛍光X線分析装置(XRF)で定量分析し,揮発率を算出した。Cs揮発率が高くなる処理条件は以下の通りであることが明らかとなった。溶融時に用いる容器:5Bボート > B1るつぼ,融点降下剤:Li2CO3 > Na2CO3 > Ca(OH)2,塩化物:CaCl2 > MgCl2 > NaCl > KCl (2)重金属元素(Pb, Cd, Cr)の揮発実験:市販の真砂土に,CdO,PbO,Cr2O3を加え,1350℃,60 minで溶融し,模擬汚染土壌を作製した。融剤(Li2CO3),塩化物(MgCl2・6H2O)を添加して高温で溶融することで,模擬汚染土壌中の各重金属元素の揮発実験を行った。その結果,以下の知見を得た。・重金属元素(Pb, Cd)は,塩化物添加による揮発促進効果が得られる。・添加する融剤は少ないときほど,また塩化物は多いときほど,揮発率が高くなる。・Pb, Cd揮発促進効果の高い塩化物は順にMgCl2 > CaCl2 > NaCl。・Crは塩化物添加による揮発促進効果が低い。
|