研究実績の概要 |
まずラセミ乳酸とカルボニル化合物とを酸性条件下、脱水反応することで、乳酸単量体由来の5種類のモノマーを合成した。5-メチル-1,3-ジオキソラン-4-オン (MDO)を基本骨格として、ジメチル基が置換した2,2,5-トリメチル-1,3-ジオキソラン-4-オン (Me2MDO)、ジエチル基が置換した2,2-ジエチル-5-メチル-1,3-ジオキソラン-4-オン (Et2MDO)、モノフェニル基が置換した5-メチル-2-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン (PhMDO)、さらにオキソ基が置換した5-メチル-1,3-ジオキソラン-2,4-ジオン (oxoMDO)を合成し、これら5種類のモノマーに対してサレン型アルミニウム単核錯体あるいはサレン型アルミニウム二核錯体、ビス(サリチルアルドイミナト)アルミニウム錯体とEtAl(OR)2混合錯体を用いた重合を検討し、モノマーの合成方法、反応剤、生成モノマーの安定性、およびモノマーの重合性について詳しく調べた。 モノマー合成では、MDOの精製は困難で、トリオキサンの混入が避けられなかった。ラセミ乳酸とアセトンとの脱水縮合により生成するMe2MDOが合成や生成が容易であった。Et2MDOはジエチルケトンがアセトンに比べて高価であること、また重合活性が低いことが分かった。PhMDOは、反応性が低く、またジアステレオマーの混合物となり、立体選択性の検討には問題が多かった。また、oxoMDOの合成には、ホスゲン化合物が必要で有り、さらにモノマーとしての安定性が低く、サレン型アルミニウム触媒では重合が確認出来なかった。以上のことから、Me2MDOをモノマーとして立体選択的重合を検討した。
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