研究実績の概要 |
InosineはD-リボースとHypoxanthine (Hyp) からなるヌクレオシドで, Guanine以外のCytosine , Adenine, Thymineと塩基対を形成する“ゆらぎ塩基”として作用する. つまり, Gを除く塩基を網羅的に検出できる機能性官能基として, 一塩基多型(SNP)を原因とする疾患(ここでは,がん疾患の初期段階で見られるKRAS遺伝子一塩基変異群 (GGT (WT) ⇒ GCT, GAT, GTT)) のプロービングや遺伝子治療薬への展開を目的としている. 今年度は, 前述のKRAS遺伝子一塩基変異群の網羅的な検出を目的として, ペプチド核酸 (Peptide Nucleic Acid; PNA) の側鎖にHypoxanthineを導入したPNAモノマーの合成と,そのモノマーを用いたoligo PNA (Ac-CAHCAGCT-NH2) を合成した. 8段階の合成により,目的とするFmoc-Hyp(Bn)-OHを得た (ESI-MS: obs. = 607.23 (cal. Mw = 606.63), 純度: 95.0%, 収率: 22.8%). 得られたFmoc-Hyp(Bn)-OHを用いてoligo PNA (Ac-CAHCAGCT-NH2)を合成した結果, TOF-MS測定 (obs. = 607.23, cal. Mw = 606.63) ならびにHPLC測定 (純度: 95.0%) より目的とするoligo PNAが合成されたことが確認された (収率: 17.1%).
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