研究課題
基盤研究(C)
これまでアクティブ種とドーマント種との可逆的な平衡を利用して,幅広いモノマーの制御カチオン重合が達成されてきた.本研究では,Li塩とルイス塩基からなる溶媒和イオン液体による成長カチオン種の直接安定化を利用した制御カチオン重合系の開発を目的とした.具体的には,イソブチルビニルエーテルの高温カチオン重合,2,3-ジヒドロフランのカチオン重合における立体規制,単独重合性の乏しいtrans-アネトールの単独カチオン重合などを検討した.
高分子化学
カチオン重合ではH2Oなどの不純物が重合禁止剤として働くため,モノマーや溶媒などの試薬の精製が必要となる.また,ポリマー物性に大きな影響を及ぼす立体規則性をカチオン重合で規制することは難しい.本研究では,Li塩とルイス塩基からなる溶媒和イオン液体による成長カチオン種の直接安定化という新しい概念を提案し,試薬の徹底的な精製を必要としない重合系の開発に成功し,カチオン重合における立体規制の可能性を示唆する成果も得た.カチオン重合の新しい制御法を提案したと考えている.