研究実績の概要 |
昨年度に実施した金属表面を開始点とするAB型フルオレンモノマーの連鎖縮合重合の条件検討結果を受け、高グラフト密度のポリフルオレンブラシを金基板上に作製し、その角度分解分光測定に着手した。共同研究先の測定装置を用いて条件検討を行っていたところであったが、COVID-19の影響で一旦保留となった。 種々の炭素数のω-メルカプトアルキル基を有するビオローゲン樹状配列分子を合成し、それらの金ナノ粒子上における自己組織化について検討し、単分子膜が得られる条件を最適化した。 また、ビオローゲン樹上配列分子の合成条件最適化を行う中で、マイクロ波加熱を利用したビオローゲンナノ粒子のワンポッド合成法を開発した。モノマーである4,4'-ビピリジンと1,3,5トリス(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)、および停止剤である臭化エチルのDMF溶液について、マイクロ波加熱を用いて80℃から150℃までの反応温度を精密にプログラム制御することで、停止剤存在下であっても成長反応と停止反応を速度論的に制御でき、ワンポットでレドックス活性ビオローゲンナノ粒子が合成可能なことを明らかにした。具体的には、第一段階として80℃で20分間マイクロ波加熱した後、第二段階である150℃、5分間の加熱を行い、得られる各ステップでの反応混合物のNMR解析を行った。その結果、80℃では4,4'-ビピリジンが主にTBMBと反応して分子量が増加しており、その後の150℃への昇温で臭化エチルとの停止反応が進行したことが確認できた。また、ナノ粒子のサイズは第一段階の反応時間を変えることによって制御でき、10分では粒径142±15 nmであったのに対し、20分に延長すると269±67nmにまで増加することが動的光散乱測定によって明らかとなった。
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