研究実績の概要 |
これまでに、金表面に作製した開始剤の自己組織化単分子膜を開始点としたAB型フルオレンモノマーの連鎖縮合重合について条件最適化を行い、高グラフト密度のポリフルオレンブラシの作製に成功している。本年度は、ポリフルオレン以外のπ共役系高分子としてポリチオフェン、ポリカルバゾールについて検討し、種々の高密度ポリマーブラシの作製を試みた。例えば、AB型カルバゾールモノマーは、3,6-dibromo-9-(2-ethylhexyl)carbazoleの片側の臭素を有機リチウムによりリチオ化した後、2-isopropoxy-4,4,5,5-tetramethyl-1-3,2-dioxaboroleneと反応させることでボロン酸エステル化した。合成したAB型モノマーについて、Au薄膜上に形成させた1-bromo-4-ethynylbenzeneの自己組織化単分子膜をbis(tri-tert-butylphosphine)palladiumで処理することにより作製した開始剤基板を用いて表面開始重合を行った。得られた基板の蛍光測定では、ポリカルバゾールに特徴的な発光スペクトルを示した。また、金溶解後での遊離ポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー測定基板の金を溶解させた後、遊離したポリカルバゾールを回収してマルチUV-vis(フォトダイオードアレイ)検知器によるサイズ排除クロマトグラフィー測定を行ったところ、ポリカルバゾール の特性吸収と一致する溶出物が観測され、溶液重合と比較すると広い分子量分布であるものの数平均分子量で4,500のポリカルバゾール が生成していたことが確認できた。
|