| 研究課題/領域番号 |
19K05593
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| 研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
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研究代表者 |
中村 泰之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 統合型材料開発・情報基盤部門, 主任研究員 (30456826)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 反応機構 / ラジカル重合反応 / 重合停止反応 / ラジカル反応 / 結合反応 / 不均化反応 |
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| 研究実績の概要 |
ラジカル重合反応の停止反応機構の解析における光誘起脱カルボニル的ラジカル反応の有用性を明らかにするとともに、これを用いてラジカル間反応の選択性を定量的に評価するためには、これまでに同反応機構について明らかにされている粘度などの効果を精査する必要がある。そこで、スチレンなどモノマーのラジカル重合成長末端ラジカルの構造を模したモデルラジカルに関して温度や溶媒粘度の効果を分析した。ラジカル間反応の結合反応と不均化反応の選択性は、反応温度の上昇に伴って結合反応が増加する傾向が見られ、温度と選択性についてのEyringプロットにより定量的に温度依存性を解析した。溶媒粘度の効果はNMR DOSY法によりラジカルに類似した分子の拡散係数を求め指標として用いることにより分析した。拡散係数の減少にともなって不均化反応の選択性が増加し、異なる溶媒を用いた場合または同一の溶媒で反応温度を変えた場合にかかわらず、拡散係数と反応選択性には一定の相関があった。これらの選択性と拡散係数の関係性の傾向はラジカルの構造に依存しなかった。この結果はすでに有機テルル化合物またはアゾ化合物をラジカル前駆体として用いた、（アゾ化合物に関してはケージ効果を考慮した）拡散ラジカルのラジカル停止反応選択性の機構とよく一致した。これよりカルボニル化合物の光誘起脱カルボニル的ラジカル反応のラジカル停止反応機構解析への有用性を確認するとともに、以前に報告した停止反応機構における温度や粘度（拡散係数）の効果を改めて証明した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脱カルボニル的ラジカル反応を用いたラジカル停止反応について、温度および拡散係数を指標として用いた粘度（マイクロ粘度）との相関を明らかにした。先に研究代表者が有機テルル化合物またはアゾ化合物を用いて報告している温度と粘度効果が同様に確認されたことは、脱カルボニル反応の手法の有用性と機構の解明において非常に重要な結果である。一方で、アクリレートの重合末端ラジカルのモデル停止反応では有機テルル化合物を用いた反応とは異なる選択性比、および同様の温度、粘度効果が実験的に得られため、これらの相違について説明する必要がある。一方で高分子ラジカル間の停止反応に関しては計画した実験に関して合成的に十分な進捗を得られていない。
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| 今後の研究の推進方策 |
脱カルボニル反応の有用性が確認されたこと、およびアクリレートに関してはこれまでに脱カルボニル反応以外で得られた選択性比とことなることを受け、反応に関する理論計算を用いた研究を行い反応の詳細を明らかにする。これをもって脱カルボニル反応を用いて明らかにされた反応機構を合理的に説明することを目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究の完成度をより高くすることを目的として研究機関の延長を申請し受理された。この期間における実験等研究活動のための費用である。
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