セルロースナノファイバー(CNF)/ポリビニルアルコール(PVA)/四ホウ酸ナトリウムから成るハイドロゲルの力学物性における凍結融解処理、高分子の分子量、CNFのファイバー長の効果を調査した。凍結融解処理回数を増やすと力学強度だけでなく、伸長度も増加することが分かった。また、高分子の分子量を上げると、力学強度が大いに上昇し、凍結融解処理を行わなくとも高強度なコンポジットハイドロゲルを作製することが可能である。 キトサンナノファイバー(ChsNF)とアルミナ微粒子を併用することにより、力学特性の優れたコンポジットハイドロゲルを作製し、優れた力学特性の要因は多重架橋によることを示した。また、ChsNF/PVA/四ホウ酸ナトリウムから成るハイドロゲルが優れた自己回復性を示すことが分かった。 高強度なイオン液体を溶媒に用いたCNF/PVAイオンゲルを開発し、ハイドロゲルに比べて四ホウ酸ナトリウム入りのイオンゲルの弾性率が20倍、四ホウ酸ナトリウムなしのイオンゲルの弾性率は40倍大きくなることを示した。この高強度の原因がイオンゲル中におけるPVAの高い結晶化度(約20%)によることが明らかとなった。また、このイオンゲルの融点は約145℃であり、耐熱性にも優れていることが確認された。さらに、放射光小角X線散乱を用いて、イオンゲルの構造を調査した結果、結晶サイズが約70Å、隣接結晶間距離が約200Åであることが明らかとなった。 イオンゲルを用いて、3層型イオンゲルアクチュエーターを作製し、このゲルアクチュエーターが2V程度の低電圧で駆動可能であり、1000回のサイクルを繰り返しても電気応答性が低下しないほどの優れた耐久性を有していることを示した。
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