クマリン部位の光二量化反応を利用して、超分子ゲル構造の可逆的な固定化手法の確立に取り組んだ。酒石酸塩およびアミノ酸誘導体をベースのゲル化剤骨格として、そのアルキル末端にクマリン部位を導入した低分子ゲル化剤の合成を行った。これらの化合物の有機溶媒に対するゲル化特性や光応答性を調べたところ、いずれの化合物も広範な有機溶媒をゲル化すること、光照射によりゲル化剤の分子集合体がクマリン部位の二量化により共有結合で連結し、ゲル構造の熱安定化が起こることを明らかにした。また、酒石酸塩の構成成分と市販の脂肪族アミンの溶液を混合することで、加熱することなく簡便にゲルが得られることを見出した。
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