研究課題/領域番号 |
19K05617
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
飯田 拡基 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (30464150)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フラビン / 超分子 / キラリティ / ゲル / 光触媒 |
研究実績の概要 |
市販のリボフラビンから合成したフラビン誘導体をハロゲン系有機溶媒中に溶解させ静置するとオルガノゲルを形成することを見出した。ゲル中でフラビン誘導体が形成する高次構造について走査電子顕微鏡やX線回折測定などを用いて詳細に調べた結果、フラビン誘導体がらせん状の超分子積層体を構築し、それらのファイバーが集合したネットワーク状構造を形成することでゲル化が進行することが明らかとなった。得られたゲルの円二色性スペクトルを測定すると、誘起された超分子キラリティに起因する明確なコットン効果が観察された。キラル材料としての応用について検討した結果、得られたゲルは誘起された超分子キラリティに由来する不斉識別能を発現することが明らかとなった。 フラビン類縁体はフォトトロピンと呼ばれる植物の青色光受容体タンパク質に含まれ、光屈性などの発現に繋がる重要な光応答挙動を示すことが知られている。この青色光受容体のメカニズムに着想を得て研究を行った結果、リボフラビン誘導体が可視光照射下において有機光触媒として働き、2種類のチオールを化学選択的に非対称ジスルフィドへと変換できることを見出した。本手法を用いると、従来法で問題となっていた対称ジスルフィドの生成が抑えられ、可視光と空気のみによって駆動することから環境負荷も低減されることが明らかとなった。新たな非対称ジスルフィドのグリーンな合成法として今後の更なる展開が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、リボフラビン誘導体がハロゲン系有機溶媒中で形成する超分子会合体の構造と機能について詳細に検討を行った。その結果、リボフラビン誘導体がらせん状の積層構造を形成すること、得られたゲルが不斉識別能を発現することが明らかとなった。さらにはリボフラビン誘導体の光触媒機能について検討を行った結果、従来にない光触媒反応を見出した。いずれも当初計画していた通り順調に成果があがっており、これらの知見に基づき今後より高度な研究成果に繋がることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、リボフラビン誘導体が形成した超分子ゲルのキラルセンシング材料への応用を進めると共に、フラビン触媒を鍵とする多成分複合触媒とそれを用いた低環境負荷型触媒反応の開発に焦点をあて研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究状況にあわせ当初初年度に導入を予定していた設備備品の購入を見合わせたため。翌年度は請求した助成金と合わせて必要な設備備品の購入を行う。
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