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2021 年度 実施状況報告書

有機フラビン環の配列制御を基盤とする機能性超分子集合体の創製

研究課題

研究課題/領域番号 19K05617
研究機関島根大学

研究代表者

飯田 拡基  島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (30464150)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードフラビン / 超分子 / キラリティ / ゲル / 酸素酸化
研究実績の概要

種々のキラルやアキラル置換基を導入したメラミン誘導体とリボフラビン誘導体を合成した。これらを有機溶媒中で混合すると、キラルな超分子会合体を形成しゲル化することを見出した。得られたゲルを電子顕微鏡により直接観察した結果、らせん状にねじれたファイバーがからみ合って三次元のネットワーク状構造を形成したことが分かった。このとき形成された超分子会合体のキラル高次構造と発現するキラル光学特性は、メラミンやリボフラビンに導入した置換基の構造やキラリティにより大きく変化することが明らかとなった。この超分子構造の制御技術は、望みの特性・機能を発現するキラルソフトマテリアルの開発に大きく寄与することが期待できる。
また、有機分子触媒として働くフラビン化合物とヨウ素触媒を組み合わせた二成分触媒系の開発も行った。その結果、チオールの酸素酸化反応が効率良く進行することを見出した。また、アミジンとカルコンの酸素酸化的脱水素型クロスカップリング(CDC)により、対応するイミダゾールを効率良く合成できることも見出した。本手法により、従来報告例の少ない四置換イミダゾールをメタルフリー条件下で原子効率良く合成できる。分子状酸素のみによって駆動し排出される副生成物は無害な水のみとなる、低環境負荷型の有機合成手法である。さらに、電解条件下でフラビン化合物を触媒として用いると、高選択的なスルフィドの酸素酸化反応が進行することも見出した。これらの検討を通じて、リボフラビン誘導体の酸化還元機能や有機触媒機能について重要な知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、種々の置換基を導入したリボフラビン誘導体とメラミン誘導体が会合し、それらが集合して形成する超分子集合体の特性や構造について詳細に検討した。その結果、様々なリボフラビン誘導体とメラミン誘導体がゲル化剤として働き超分子オルガノゲルが得られること、形成するキラル超分子構造やキラル光学特性が置換基の構造とキラリティによって自在に制御できることを見出した。また、リボフラビン誘導体が発現するレドックス触媒機能に注目して検討を行った結果、フラビン触媒と電解反応を組み合わせた酸素酸化反応系の開発に成功した。さらに、フラビン触媒とヨウ素触媒を組み合わせた二成分触媒がアミジンとカルコンの酸素酸化的CDCを進行させ、原子効率の高い四置換イミダゾールの合成に応用できることを見出した。当初計画していた通り順調に成果があがっており、次年度の展開を期待させる知見が得られている。

今後の研究の推進方策

次年度は、リボフラビン誘導体やリボフラビンーメラミン誘導体が形成した超分子ゲルを用い、それらが不斉識別材料として応用できるかどうかについて詳細に検討を行う。また、フラビン触媒を鍵とする低環境負荷型の有機合成反応の開発を継続して遂行するとともに、超分子化にともない配列制御したフラビン触媒が発現する触媒機能について検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナウィルス感染症の影響により、当初計画していた計画の一部について変更が生じ、次年度に実施することとした。このため、生じた未使用額は次年度の実験経費に充てる。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Recent Development of Aerobic Oxidative Transformations by Flavin Catalysis2022

    • 著者名/発表者名
      Iida Hiroki
    • 雑誌名

      Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan

      巻: 80 ページ: 27~35

    • DOI

      10.5059/yukigoseikyokaishi.80.27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Green Aerobic Oxidation of Thiols to Disulfides by Flavin?Iodine Coupled Organocatalysis2021

    • 著者名/発表者名
      Oka Marina、Kozako、RyoIida Hiroki
    • 雑誌名

      Synlett

      巻: 32 ページ: 1227~1230

    • DOI

      10.1055/a-1520-9916

    • 査読あり
  • [学会発表] 種々のカルバモイル化リボフラビン誘導体を用いた超分子ゲルのキラル光学特性と不斉識別能2022

    • 著者名/発表者名
      寺西 宥太・小迫 亮・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] フラビン-ヨウ素触媒により分子状酸素で駆動するテトラヒドロイソキノリンと炭素求核剤との脱水素型クロスカップリング反応2022

    • 著者名/発表者名
      三宅 葉月・岡井 駿樹・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] フラビン触媒を用いる化学選択的なスルフィドの電解酸素酸化2022

    • 著者名/発表者名
      水嶋 大雅・岡 真里奈・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] 有機光触媒と分子状酸素を用いるトルエンとo-フェニレンジアミンの脱水素型クロスカップリングによるベンゾイミダゾール合成2022

    • 著者名/発表者名
      塩貝 雄太・岡 真里奈・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] フラビン-ヨウ素触媒を用いたアミジンとカルコンの酸素酸化的カップリングによる四置換イミダゾールの合成2022

    • 著者名/発表者名
      武田 明紀・岡井 駿樹・渡部 恭士・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] カルバモイル化リボフラビンと様々な光学活性メラミン誘導体によるキラル超分子ゲル2022

    • 著者名/発表者名
      山田 雄太・寺西 宥太・飯田 拡基
    • 学会等名
      日本化学会 第102春季年会 (2022)
  • [学会発表] フラビン-ヨウ素触媒による酸素酸化的C-N/C-S結合形成反応を用いるイミダゾ[1,2-a]ピリジン誘導体の合成2021

    • 著者名/発表者名
      岡井 駿樹・岡真里奈・小迫 亮・谷本 和雅・大門 竜馬・飯田 拡基
    • 学会等名
      第24回 ヨウ素学会シンポジウム
  • [学会発表] フラビン-ヨウ素触媒を用いるテトラヒドロイソキノリンと炭素求核剤の酸素酸化的クロスカップリング反応2021

    • 著者名/発表者名
      三宅 葉月・岡井 駿樹・飯田 拡基
    • 学会等名
      第24回 ヨウ素学会シンポジウム
  • [学会発表] フラビンーヨウ素触媒を用いた酸素酸化的C-N結合形成反応の開発2021

    • 著者名/発表者名
      武田 明紀・岡井 駿樹・渡部 恭士・飯田 拡基
    • 学会等名
      2021年日本化学会中国四国支部大会
  • [学会発表] フラビン-ヨウ素触媒を用いたテトラヒドロイソキノリンのC-H活性化による酸素酸化的脱水素クロスカップリング反応2021

    • 著者名/発表者名
      三宅 葉月・岡井 駿樹・飯田 拡基
    • 学会等名
      2021年日本化学会中国四国支部大会
  • [学会発表] フラビン触媒を用いたスルフィドの電気化学的酸素酸化2021

    • 著者名/発表者名
      水嶋 大雅・岡 真里奈・飯田 拡基
    • 学会等名
      2021年日本化学会中国四国支部大会
  • [学会発表] フラビンの光酸素酸化触媒能を利用したトルエンとo-フェニレンジアミンの脱水素型クロスカップリングによるベンゾイミダゾール合成2021

    • 著者名/発表者名
      塩貝 雄太・岡 真里奈・飯田 拡基
    • 学会等名
      第54回酸化反応討論
  • [学会発表] Organocatalysts Immobilized onto Chitin and Chitosan2021

    • 著者名/発表者名
      Hiroki Iida
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Bilateral Polymer Symposium (2021 TJBPS)
    • 招待講演
  • [学会発表] カルバメート基を有するフラビン化合物と光学活性メラミン誘導体の自己集合によるキラル超分子ゲルの形成2021

    • 著者名/発表者名
      寺西 宥太・小迫 亮・山田 雄太・飯田 拡基
    • 学会等名
      2021年日本化学会中国四国支部大会
  • [学会発表] ビタミンB2を用いた有機分子触媒反応の開発と機能性材料への応用2021

    • 著者名/発表者名
      飯田拡基
    • 学会等名
      第73回日本ビタミン学会大会 part2
    • 招待講演
  • [備考] 島根大学 分子機能化学研究室

    • URL

      https://www.ipc.shimane-u.ac.jp/fmchem/index.html

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公開日: 2022-12-28  

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