| 研究課題/領域番号 |
19K05624
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
キム ユナ 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (00648131)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 液晶 / マイクロ球体 / 光異性化 / π共役系ポリマー / エレクトロクロミズム |
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| 研究実績の概要 |
コレステリック液晶(CLC)は、分子のキラリティにより分子配向方向がねじれ、らせん周期構造を形成し、らせん周期に相当する波長の光を反射する。特に、球体であるCLC液滴は、放射状のらせん構造に由来する三次元全方位フォトニック構造をもつため、CLCをマイクロ液滴化して、内部のらせん構造や選択反射波長を外部刺激により制御するCLC液滴が近年盛んに研究されている。しかし、従来のCLC液滴は、光学特性を制御できる範囲が狭いという限界があった。本申請研究では、現状の問題を解決することを目的とし、選択反射の色と強度を光照射と電圧印加により瞬時かつ自在にコントロールできるtriple-emulsion構造を有する複合マイクロ球体を創製する。光照射により選択反射色を大きく変化させるCLC(コア部)、エレクトロクロミックポリマー(シェル部)及び親水性インナーシェルを,マイクロ流体デバイスを用いて導入し、幅広い光応答性、及び電気活性を持つ複合球体を網羅的に開発する。これまで、光照射により、らせん周期を非常に大きく変化させる事を可能とする様々な新規光応答性のキラル添加剤を設計・合成した。新規ドーパントを用いて得られたCLC相のらせん周期やその選択反射色を、紫外線と可視光の照射で可逆的に制御できることを確認した。また、マイクロ流体デバイス用いて、様々な光応答性CLC材料を導入した液晶球体の作製に成功した。さらに、それらの選択反射波長の変調特性の評価を行い、光照射によりCLCコア部の反射光の干渉色の制御が自在にできることを確認した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第１年度は、光照射により、コレステリック液晶(CLC)のらせん周期を非常に大きく変化させる事を可能とする様々な新規光応答性のキラル添加剤を設計・合成した。さらに、それらを導入したCLCの選択反射波長がキラル添加剤の光異性化反応により幅広く変化させることが出来る事を確認した。
また、コロイド粒子の製造システムを構築している韓国のShin-Hyun Kim准教授（KAIST）と共同研究を行い、シェル部に電場応答性を示さない親水性のポリビニルアルコールを用いるCLC液滴を作製した。得られたCLC液滴の選択反射波長の変調特性、反射光の干渉色の制御性を吸収スペクトル測定で行い、CLC液滴の反射光の干渉色の制御が自在にできることを確認した。さらに、最適なネマチック液晶の種類や添加剤の濃度、液滴のサイズなどの条件を検討した。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究で開発されるマイクロ球体の３次元反射光の強度は、球体の表面にコーティングするπ共役系ポリマーのエレクトロクロミズムによる色変化により制御する。そのため、令 和2年は、酸化還元反応により大きい吸光度の変化を示し、かつ溶解度が大きい様々なpolythiophene誘導体を設計・合成する。ポリマーに導入されたクロモフォア、アルキル基の種類、そして分子量などがシェルの物性に大きな影響を与えると考えられ、それらを様々に変更した一連の新規ポリマーを合成し、得られた各ポリマーの基本的な酸化還元電位及びエレクトロクロミック特性を評価する。また、triple-emulsion構造を有する液晶・高分子で構成されるマイクロ球体を作製する。コアの液晶分子配列特性やシェルの厚さ(数十～百ナノメートルほど)、モルフォロジー、サイズ分布などを吸収スペクトル、FT-IR、SEMや偏光顕微鏡で確認する。
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