研究実績の概要 |
本研究では、光反応性官能基を導入した新しい発光性アモルファス分子材料を創出し、それらを用いたアモルファス化度の評価方法を開拓するとともに、アモルファス化度とメカノクロミック発光特性との相関を解明することを目指している。 令和元年度は、光反応性官能基を有するいくつかの新規アモルファス分子材料を設計し、そのうち三つの新規化合物(シアノスチルベン骨格を有する N,N-bis(4-metylphenyl)-4-(2-cyano-2-{4-[5-(4-metylphenyloxy)pentyloxy]pentyl}ethenyl)aniline, アントラセン骨格を有する 9-{4-[bis(9,9-dimethylfluoren-2-yl)amino]phenyl}anthracene および 9-{4-[bis(9,9-dimethylfluoren-2-yl)amino]phenyl}-10-phenylanthracene)の合成に成功した。これらの化合物はいずれも、溶液からの再結晶により得られた結晶試料を加熱融解させたのち、室温で徐冷するだけで、容易にアモルファスガラスを形成した。また、これらの溶液中で溶剤の種類により発光色が変化するソルバトクロミック発光を示すことを明らかにするとともに、固相でも発光することが明らかとなった。さらに、三種類いずれの化合物についても、結晶試料を摩砕すると発光色が変化するメカノクロミック発光を示すことが確認できた。これらのアモルファス膜に光を照射し続けることによって光反応が進行していることを示す予備的な知見も得られた。
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