研究課題
近赤外領域に吸収および蛍光を示す色素は,分子イメージングや近赤外有機ELなど,医療や電化製品など幅広い分野での応用が可能であり,我々の生活に大きく役立つ革新的材料である。有機分子が近赤外領域(700 nm以上)に蛍光を示すためにはπ共役系の伸張が必要である。しかしながらπ共役系の伸張による分子骨格の柔軟化が,熱失活を促進させ,蛍光消光や分子の不安定化を引き起こし,近赤外蛍光色素の実現を困難にしている。本研究では,近赤外領域に吸収および蛍光色素の開発を目指す。本研究において,溶液中で近赤外領域である722 nmおよび781 nmに最大吸収波長を示す2つの色素の合成に成功した。また、これらの色素は近赤外領域である768 nmおよび833 nmに最大蛍光波長を示した。またそれぞれの蛍光量子収率は0.30および0.18であった。すなわち、近赤外領域において強い蛍光を示す色素の合成に成功した。更に、これらの色素をモノプロトン化することで、最大吸収波長を722 nmから868 nmおよび781 nmから1007 nmとそれぞれ146 nmおよび226 nmと大きく長波長化させることが可能であることを見出した。また、これらの色素はジプロトン化することで最大級波長が613 nmおよび680 nmと短波長化し、それぞれ630 nmおよび710 nmに蛍光を示した。 すなわち、合成した色素はハロクロミズム特性を示した。さらに、合成した色素はポリエチレン繊維に染色することが可能であった。このポリエチレン繊維は気体の酸に対して色が変わるテキスタイルセンサーとして応用できることを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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