研究課題
局所構造の精密決定(極局所構造解析)から広範囲にわたる原子集団のゆらぎの特徴抽出まで,スケールアップした先端的構造解析法を駆使して,複雑な結晶構造をもつ第13族元素化合物の構造的な特徴を明らかにすることを目的とした.第13族元素化合物に存在する化学的短距離秩序構造(Chemical Short Range Ordering : CSRO)とそれらCSROの連結様式(中距離秩序構造 (Medium Range Ordering: MRO))に新しい構造秩序を見出し,構造ユニットの連結様式の多様性と形成機構を3次元定量的に解明した.Cu3Au 型-アンチペロブスカイト型構造を持つScRh3B0.6 化合物に現れる{111}* 方向にシャープな散漫散乱(逆空間)の三次元可視化と原子分解能像(実空間)とのコンビネーションから,この化合物群におけるMROの特徴を明らかにした正20面体ボロン・クラスターからなる過冷却ボロン固体の合成探索ならび合成した新規ボロン結晶相の電子顕微鏡結晶構造解析を行った.液体急冷ボロン試料から既知結晶相では説明できない複数の回折ピークが見つかり,20面体ボロンクラスターを構造ユニットとする結晶構造モデルの構築を行っている.Al系正20面体準結晶の関連結晶相には,<111>*cubic 方向に3倍周期をもつ超格子構造(三方晶系)が存在する.単結晶X線回折パターンから示されている超格子構造相が双晶構造の特徴を明らかにするため,4D-STEM 観察を行った.4D-STEM 観察から得られる仮想電子回折パターンと仮想暗視野像から,双晶構造の方位関係を明らかにした.原子分解能 HAADF-STEM像は,単結晶X 線回折構造解析から提案した構造モデルを元に計算した像の特徴とよく一致していた.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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