研究課題
水から水素を取り出す水素製造の技術開発は、水素エネルギーを用いた発電技術や燃料電池自動車などへの利用に直結し、近未来の水素エネルギー社会の到来を可能にする。そこで本研究では、石油エネルギー(化石燃料)に代わる再生可能エネルギーである水素エネルギーに着目し、水素製造の性能に直結する高効率水分解光触媒チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)ナノキューブ粒子を生み出すことを目的とする。効率よく水素を生成する水分解光触媒を創り出すには、水素生成の活性点となる結晶面(ファセット)が露出したナノキューブを合成することが重要であると考えた。目標とする粒径は100nm以下で、手法はボトムアップ型アプローチが可能な水熱法を用いた。その結果、結晶面(ファセット)が露出した状態で、100nm以下のSrTiO3を得ることができた。水分解光触媒の性能に直結する要素の一つとして、粒子表面が挙げられる。本研究で対象としたSrTiO3はペロブスカイト型構造を有し、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、酸素(O)の三元素で成り立っている。これらの3つの元素の中で、粒子表面を構成している元素を特定することはすごく重要であるので、球面収差補正付き走査透過型電子顕微鏡観察で原子配列を調べている。今後の展望として、粒子表面の元素を自在に並べ替える技術を確立することができれば、光触媒の分野のみならず、他の粒子表面が物性発現に起因する材料での性能向上が期待され、波及効果が極めて高いと考えている。そのために、粒子表面の原子配列の制御という新しい分野に挑戦していく。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
ACS Omega
巻: 6 ページ: 32517-32527
10.1021/acsomega.1c04013