テルフェニル骨格を母体とするテトラホスホン酸とアルミニウムから得られているミクロ多孔性AlTPTMPは合成の再現性が低く、フッ化物イオンの添加で同様の結晶相が得られるものの生成物の熱安定性が著しく低下するため、ガス吸着等の評価が困難という問題があった。原料ホスホン酸のエチルエステルを部分的に残して合成に用いることにより、再現性良く安定性の高い結晶性試料を得ることができ、再現性の悪さは原料エステルの加水分解状態の違いを反映した可能性が示唆された。 ピレン骨格を母体とするテトラホスホン酸配位子を用いて昨年度結晶構造解析に成功したアルミニウムMOF Al-Py-DMF及び亜鉛MOF Zn-Py-DMFについて、安定性、ガス吸着特性、蛍光特性を評価した。Zn-Py-DMFの結晶構造の決定には至らなかったが、Al-Py-DMFと関連した構造を有するミクロ多孔体であると考えられる。いずれのMOFも多くの芳香族分子に対して消光挙動を示した。 また、isoreticularな骨格とは言えないものの、アダマンタンにビフェニレン基を介してホスホン酸基が4つ結合したリンカー分子を用いたMOF合成を検討した。この分子は溶解度が低すぎるため結晶性のMOFを得ることはできなかったものの、NMPと共に結晶化させることでHOF(Hydrogen-bonded Organic Framework)の合成に成功した。真空加熱によるNMPの除去後も概ね結晶構造を保持しており、窒素吸着によるミクロ多孔性、及び固体酸触媒活性が確認された。
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