酸化バナジウム(V)はシート状構造であるので、その部分骨格を切り出す事ができればナノチューブやフラーレンのような中空分子の合成が可能である。バナジウム酸化物クラスター内にフッ素イオンテンプレートを用いてチューブ状分子の形成を試みた。細長い分子であるアセトニトリルやスルホン基を持つテンプレートなどがチューブの延長に有効であることを見出し、V18, V30などのチューブ状分子の合成方法を確立した。オレフィンとの酸化反応後に生成すると想定されるポリオキソバナデートのアルコキソ化学種を単離し、想定される反応機構の中間体すべてを、まるで有機金属化学でよく行われてきた活性種の単離のように達成した。
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