研究課題/領域番号 |
19K05647
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 亮 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (50613395)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 酸化チタン / 形態制御 / ナノ材料 / 誘電率 / 異方結晶成長 |
研究実績の概要 |
2020年度は、密度の高い圧粉体による交流インピーダンス測定およびSPMによる電気化学測定条件の検討を行った。昨年度、一軸成型体を用いてインピーダンス測定を行い、アスペクト比や多形と誘電率に一定の関係性を見出していたが、結果を精査すると粒界の影響が大きく出ていることが懸念された。これは形態と多形を維持する範囲の加熱では圧粉体の密度が十分に上げられないことに起因すると考え、冷間等方圧加圧装置(CIP)を導入し、密度の高い圧粉体の作製とその交流インピーダンス測定を実施した。また、密度による影響を補正するために、Lichteneckerの対数混合則を適用するなどして、より精密な誘電率を算出したところ、昨年度と同様の傾向(rutile型ではアスペクト比が大きい粒子、brookite型では小さい粒子がより高い誘電率を示し、brookite型はrutile型より低い誘電率を示す)が確認できた。合成した酸化チタン粉末のエタノール懸濁液をHOPG上にドロップキャストし、ロッド状単粒子1つをAFM観察により探し出し、導電性プローブを用いた電気化学測定を実施した。すると、測定の前後で試料が移動する様子が確認でき、安定して測定が行えなかった。種々検討の結果、コンタクトモードではプローブが試料を蹴ってしまい、試料が移動することが示唆された。そこで、ダイナミックモードを用い、プローブの初期位置を調整することで、試料上にプローブが接地する条件を見出し、IV測定を行ったところ、巨大な抵抗が確認された。しかしこれは、装置系由来であることが明らかとなったため、外部回路を導入し、安定的に単粒子の電気化学測定が行える装置を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多形の電気化学測定についてはおおよそ順調であるものの、SPMを用いた電気化学測定について当初計画よりやや遅れがあるため、全体としてやや遅れていると判断した。これは、測定において、論文調査により得られた条件やこれまでの所属研究グループの成果をそのまま適用することが難しかったためである。このことは逆に、本研究の特異性や独自性を示しており、これまでの結果は複数の学会で報告できていることから、一部予定通りには進んではいないものの、成果は得られていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果を踏まえ、計画を適宜修正しながら進めていく。
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