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2021 年度 実施状況報告書

異常高原子価Fe4+を含む鉄酸化物の酸素欠損精密制御と物性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K05655
研究機関大阪府立大学

研究代表者

林 直顕  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (70346047)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードメスバウア効果 / ペロブスカイト / 酸素ノンストイキオメトリー
研究実績の概要

高温中での遷移金属酸化物の物性は、周囲の酸素分圧に大きく影響される。それは固体中に含まれる酸素量が雰囲気の酸素分子との平衡により変化するためである。一方、メスバウア分光法(ガンマ線による原子核への共鳴吸収測定)は、鉄やスズ、ユーロピウムなどに元素は限られるが、原子核由来の情報から物性を調べることのできる優れた手法である。現在、精密に雰囲気制御した高温下でメスバウア効果測定の可能な装置を開発している。酸素+アルゴンガスの混合と、高純度アルゴンガスからジルコニア菅を用いた酸素ポンプで酸素ガスを取り除く手法により、1~10-15atmの広い酸素分圧(PO2)の範囲のガスを作り出し、試料加熱炉に安定して導入することができた。
ペロブスカイト型SrFeO3-δ(δ=酸素欠損量)について、ジルコニア酸素センサーとPC制御された酸素分圧雰囲気中で高温メスバウア分光測定を行った。600℃においては酸素分圧の高い領域(PO2~1atm)ではsinglet、低い酸素分圧(PO2~10-5atm)の雰囲気下ではdoublet、中間領域はsingletとdoubletピークの二相混合状態となった。singletピークはFe3+とFe4+ の混合原子価状態、doubletはブラウンミレライト相に由来するFe3+と考えられ、酸素分圧の低下に従って酸素欠損量が増加し、鉄イオンの平均価数が低下する傾向が観測された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

メスバウア分光測定を行うために必要な密封γ線源を用いることのできる放射線管理区域の整備が遅れた。

今後の研究の推進方策

高温で安定したデータが取れるようになってきたため、様々な条件下でSrFeO3-δ相の測定を進める。また、900℃以上で電気炉の輻射熱の影響が大きくなるため、測定窓の遮熱対策を行う。酸素ポンプを用いた低酸素分圧領域の雰囲気が安定性の向上のため装置の改良を進める。

次年度使用額が生じた理由

機器開発の遅れにより、コバルト線源等の購入が遅れたため。

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公開日: 2022-12-28  

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