研究課題
基盤研究(C)
可視光線を吸収して黒色を呈するにもかかわらず,近赤外線を反射して,温度上昇を抑制する新しい黒色遮熱顔料の開発を目指し, Ca2Mn0.85Ti0.15O4複合酸化物のMn4+サイトをさらにZn2+で部分置換した試料,及びCeVO4を母体とし,Ce3+サイトをGd3+で部分置換した試料を合成し,その黒色度と遮熱特性を評価した.その結果,本研究で合成した顔料はいずれも黒色であるにもかかわらず,市販品よりも高い日射反射率を示し,極めて優れた遮熱特性を有することが明らかとなった.
無機材料化学
黒色を呈する顔料は,そのほとんどが可視光と同時に近赤外光を吸収してしまうので,熱を帯びやすいことが知られている.例えば,日射吸収率が高いアスファルト舗装路面は色が黒く,都市部などで問題となっているヒートアイランド現象の一因とされており,その緩和・解消が求められている.本研究で開発した新顔料は黒いにもかかわらず近赤外線を反射するため,熱をため込みにくいことから,上記の解題を解決できる新しい黒色顔料として期待できる.