蓄電池の低コスト化や環境負荷低減に資するキーマテリアルとしてマルチレドックス有機電極に着目し、フルオレノン骨格が縮合した構造をもつ化合物の電気化学特性を調査した。その結果、トルキセノン類が非水系電解液を用いるナトリウムイオン電池の電極として機能することを見いだし、カルボニル基の逐次的な還元反応によって生じたトリラジカルの安定性がクーロン効率や容量維持率に寄与することがわかった。さらに周辺ベンゼン環にさまざまな置換基をもつトルキセノン類を用いることでレドックス電位が調整できることが判ったが、水系電解液に適合するトルキセノン類を見いだすことはできなかった。
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