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2020 年度 実施状況報告書

典型元素ポルフィリン錯体を光触媒とする水の過酸化水素への二電子酸化反応系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 19K05675
研究機関宮崎大学

研究代表者

白上 努  宮崎大学, 工学部, 教授 (60235744)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード水の酸化反応 / 人工光合成 / 典型元素ポルフィリン / 光触媒
研究実績の概要

昨年度の研究により、ゲルマニウム以外の典型元素としてリンを中心元素とするポルフィリン錯体を用いることでも、水の過酸化水素への二電子酸化反応が進行することを見いだした。今年度も、その継続研究を行った結果、その反応性は溶液のpH変化に依存することを明らかにした。さらに、DFT計算によって、反応中間体の分子構造計算を行うと、Geの場合、水を活性化する中間体がGe-オキシル錯体(酸素ラジカル性)であるのに対して、Pの場合は、P-オキソ錯体(酸素求電子性)であることがわかった。
また、水の酸化反応の反応場として、平滑な半導体ナノシートや粘土ナノシートの活用も研究目的としている。昨年度の研究では、ニオブ酸ナノシートの作成に成功し、その光化学的挙動を明らかにした。今年度の研究では、スメクトンSAと呼ばれるカチオン交換性層状粘土ノナノシートを用いて、粘土上でのGe-ポルフィリン錯体の挙動を検討した。粘土ナノシートに吸着させるためには、カチオン性錯体を用いる必要があるので、ピリジニウムカチオンを有するGe-ポルフィリン錯体を新たに合成した。その結果、粘土ナノシート上に、会合せずに定量的に吸着すること、また電子供与体であるアスコルビン酸との光電子移動において、Ge-ポルフィリンの一電子還元体(ラジカルアニオン)が粘土上で安定化することを見いだした。この結果は、粘土ナノシート上での電荷分離効率の向上を図れることを示唆していることから、光化学反応の反応場として有効に機能することを示している。
さらに、ポルフィリン以外の配位子として、ポルフィリンの可視光吸収と比較して、より長波長側に吸収を有するN-混乱ポルフィリンを用いて、Ge錯体の合成を試みたところ、Ge-N-混乱ポルフィリンの合成に初めて成功した。さらに、この錯体が水の過酸化水素への光反応も起こせることも見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の実施計画であった、Ge以外の典型元素への展開について、リンポルフィリン錯体による水の酸化反応の詳細な反応機構を計算科学も併用して明らかにすることができた。
また、ポルフィリン以外の配位子として、今回初めてN-混乱ポルフィリンを用いた結果、軸配位水酸基を有するGe-N-混乱ポルフィリン錯体の合成に初めて成功する成果を得た。またこの錯体も水の酸化活性を示すことから、次年度以降、この錯体に関する詳細な検討ができるため、典型元素ポルフィリンの光化学物性の研究が推進できると考えている。

今後の研究の推進方策

今回発見したGe-N-e混乱ポルフィリン錯体、およびリン以外の典型元素(例スズ)ポルフィリンでの検討を行い、典型元素ポルフィリン錯体の水の光活性化に関する一般性を明らかにすることを推進する。
さらに、反応場としての半導体ナノシートあるいは粘土ナノシートを活用した水の光酸化反応系の構築を目指す。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響があり、学会発表への旅費の未使用等、当初の見積計画とかなりの差が生じたため。
次年度の研究計画で行う消耗品および旅費の一部として使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 粘土ナノシート上に吸着したカチオン性ゲルマニウムポルフィリン錯体の光還元反応2020

    • 著者名/発表者名
      具志堅 允、鍋谷 悠、白上 努
    • 学会等名
      2021年光化学討論会

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公開日: 2021-12-27  

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