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2019 年度 実施状況報告書

CCUのための高温CO2吸収材の実用化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K05679
研究機関早稲田大学

研究代表者

中垣 隆雄  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30454127)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード吸収速度 / 焼結 / 多孔質体 / 化学反応 / Dusty gas model
研究実績の概要

これまでの研究で,造孔剤として使用していたセルロースが圧縮成型時に楕円状へと構造変化を起こし,この構造変化がCO2吸収・放出時の微細構造変化の原因であることがMonte Carlo法の焼結シミュレーションツールQ-states POTTsモデルの計算結果により明らかになっている.本年度は開発したQ-states POTTsモデルの計算結果から圧縮成型後も円筒状の空隙を保持可能な造孔剤としてアセチレンカーボンブラックを選定した.この造孔剤を添加したリチウムシリケート(LS)を用いた熱重量示差熱分析(TG-DTA)によりCO2吸収・放出試験を12回繰り返し実施した.その結果から,12回目でもCO2吸収・放出容量の低下は5%未満であり,アセチレンカーボンブラックを造孔剤として用いることで,CO2吸収・放出時の微細構造変化に起因した吸収容量低下の抑制が可能であることが明らかとなった.
コスト削減のためにアセチレンカーボンブラックの添加量を実験と補完的な数値計算によって決定した.TG-DTAによって測定した吸収・放出挙動を模擬するために,多孔質内での輸送現象を正確に模擬可能なDusty-gasモデルに生成/消滅項としてCO2吸収・放出反応を組み込んだ計算モデルを開発した.反応速度式中の係数はTG-DTAの結果に数値計算をフィッティングすることで決定し,LSの吸収・放出挙動を模擬した.
LSの吸収・放出挙動を模擬可能な数値計算モデルにより,空隙率をパラメータとして数値計算を実施したところ,20分の吸収時間では空隙率が30%のときに吸収量が最大となった.細孔形状を円筒と仮定したQ-states POTTsモデルの計算結果より,CO2吸収・放出時の微細構造変化後の空隙率が30%となる初期空隙率は40%であったため,アセチレンカーボンブラックの適切な添加量を7wt%とした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通りに計画が進んでいる.平成31年度はTG-DTAによるCO2吸収・放出挙動の結果を模擬可能な数値計算モデルを開発した.開発した数値計算モデルによって繰り返し容量を維持可能な細孔構造を決定した.この数値計算モデルでは幾何学形状の変更によってハニカム形状のLSの評価が可能であるため,今後の研究の基礎を確立できた.

今後の研究の推進方策

(1)数値計算によるハニカム成形体の形状設計と製作 平成31年度の研究で決定した微細構造を有するハニカム成形体でのCO2吸収・放出の挙動を予測可能な数値計算モデルをCOMSOL Multiphysicsを用いて開発する.開発した数値計算モデルを用いて,ハニカムの幾何学形状をパラメータとして数値計算を実施し,ハニカム成形体の性能を評価する.また,CO2吸収・放出挙動の計算結果からハニカム成型体の形状を決定する.
(2)実験によるLS成型体の性能評価 数値計算によって決定した形状のLSの成形を外注する.成形したハニカム成形体のCO2吸収・放出の非定常的かつ定量的な挙動を二重管反応器によって実験的に評価すると共に,前述の数値計算モデルの妥当性を確認する.試験と計算に差異がある場合には,押出成形法の圧力に起因した違いであると予測されるため,微細構造のキャラクタリゼーションを実施する.
(3)Aspen Plusによるプロセス評価 COMSOL Multiphysicsにより開発した計算モデルによって実機相当にスケールアップしたLSの挙動をモデル化し,単位操作としてAspen Plusに組み込む.システム解析によって製鉄所のCCUによるCO2排出削減量を数値的に評価する.

次年度使用額が生じた理由

ハニカム型のサンプル作製が遅れている。
ハニカム型のチャネル寸法、壁厚さの数値計算による設計に遅れが生じているため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] CO2吸収セラミックスのサイクル容量維持率の向上2019

    • 著者名/発表者名
      上田 誉、中垣隆雄
    • 学会等名
      化学工学会第84年会

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公開日: 2021-01-27  

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