2021年度はハニカム形のリチウムシリケート(Li4SiO4,LS)を作成した.ハニカム成形するためにLS粉体が必要になるため,一定の粒径を持つLSを造粒した.造粒したLSを熱重量測定することでCO2吸収速度や吸収容量について評価し,妥当な性能を確認した.造粒したLS粉体を原料とし,成形テストを実施した.ハニカム成形体としてのLSについても性能確認するため,成形体の一部を切り取り,熱重量測定によってCO2吸収試験を実施した.その結果,過去の試験データと比較して妥当な吸収挙動であることを確認した. また,成形寸法を数値計算によって決定した.2020年度に構築した2次元数値計算モデル中の化学反応速度式について,アレニウス型の一般的な平衡反応式から平衡吸収量を考慮可能な1次反応ベースの式に修正した.この数値計算モデルを使用し,炭素循環製鉄に適用する反応器について設計した.温度スイング可能な2塔切り替え式の反応器を想定し,吸収速度や吸収容量に大きく影響する設計因子から順番にパラメータスタディを実施した.吸吸収容量と圧力損失はトレードオフの関係にあるため,現状の製鉄所の運転条件を踏まえて圧力損失の許容範囲を設定し,その範囲内において吸収速度と吸収容量が最大となるようなハニカム形状とした. さらに,以上で設計したハニカム形LSについて,成形を完了した. 成形したハニカム形LSを用いてCO2吸収試験を実施するため,ガス流通型反応器を設計・製作した.本研究で扱うハニカムは矩形セルの集合体であるため,周期境界条件を適用したハニカム中の単セルを解析対象とする簡易的なシミュレーションによってモデル化を試みる.そのため半径方向の熱移動を極小化する反応器形状を探索し,設計・製作した.
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