研究課題
L-チロシンで修飾したプテリン-7-カルボキサミド (1) を合成し、そのRTA共結晶のX線結晶構造解析を行なったところ、1分子の (1) がRTAの一次ポケットに結合し、さらにもう1分子の (1) が二次ポケットに入る2対1モードで取り込まれることを明らかにした。これは、RTAの二次ポケットに有機小分子阻害剤が結合した世界初の例である。 より詳細な解析から、阻害剤の取り込みに伴い、RTA中のTyr80及びAsn122の立体配座が大きく変化し、且つ二次ポケットに取り込まれた阻害剤が二次ポケット入口付近のAsn78と水素結合していることを明らかにした。次に、トリペプチドで修飾したプテリン-7-カルボキサミド(2)とRTAとの共結晶を作成し、そのX線結晶構造解析を行なったところ、(2)のプテリン環が一次ポケットと強く相互作用し、且つLys側鎖末端のアリール基部分が二次ポケットに取り込まれていることを明らかにした。これまで1分子で2つのポケットを同時に塞ぐ有機小分子阻害剤の例はなく、これが世界初の例である。この(2)/RTAの共結晶においてもTyr80及びAsn122の配座変化、ならびにAsn78との水素結合が観測された。一方、ジペプチド(GlyTyr)のN末端にプテリン-7-カルボニルを導入した阻害剤(3)とRTAとの共結晶のX線結晶構造解析を行なったところ、N末端から2番目のTyrのフェノール性水酸基が、Asn78と水素結合していることがわかった。この場合においてもTyr80及びAsn122の配座変化が観測された。これらの結果から、RTA中のTyr80及びAsn122の立体配座変化ならびにAsn78との相互作用が、二次ポケットへの阻害剤取り込みの引き金となり、高いRTA阻害活性を実現する重要な因子であることを明らかにした。
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PLOS ONE
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