研究課題/領域番号 |
19K05701
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
岡本 正巳 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60288553)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軟骨細胞集塊 / ラテックス / 組織学的評価 / 3次元培養 / ヒト間葉系幹細胞 / 細胞分裂周期 / 免疫染色 / ヘマトキシリン・エオジン染色 |
研究実績の概要 |
軟骨細胞集塊を安定して形成できるラテックス濃度の決定と組織学的評価を行うために、より大きな細胞集塊(直径 1 mm程度)が必要となる。直径 1 mmの軟骨細胞集塊を長時間培養でも安定に形成させることが可能となるラテックス濃度を、組織学的評価と、DNA量を測定して調べた。 (1)軟骨組織の3次元培養条件の構築 ヒト間葉系幹細胞の細胞集塊(直径 1 mm)を長時間の培養でも安定に形成させることが可能なラテックス濃度を見出して、軟骨組織の3次元培養条件を構築する。これによって、生体組織に近い3次元組織を再現できる。実験は、細胞集塊形成させるための特別な培養容器を使用して3週間培養する。生細胞の脱水素酵素量をWST-8アッセイにて測定することで、細胞生存率を調べる。また生細胞の核の中のDNA量の経時変化をフローサイトメーターを用いて測定し、細胞分裂周期を詳細に調べる。これにより分化と増殖の時間的なスケールを把握することが可能となり、細胞集塊を安定して形成できるラテックス濃度を0.1~0.32mg/mLと決定した。 (2)3次元培養された軟骨組織の組織学的評価 細胞集塊のヘマトキシリン・エオジン染色を行い、集塊内の空隙を定量化し、組織内のコラーゲン濃度の算出を行い、生体軟骨組織との類似性を検証した。ラテックスに抗体を使って緑色蛍光タンパク質にて免疫染色し、軟骨組織内でのラテックスの位置分布を調べて力学モデルの構築を行った。これを用いて、マイクロインデンテーション法にて測定された軟骨組織の弾性率と構造の相関を明らかにすることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は、幹細胞を用いてインビトロ(生体外)培養にて軟骨組織の発生過程において、軟骨分化誘導を促進させながら、天然の軟骨細胞外マトリックス組成物を模倣し、同様の力学的特性を特徴とする優れた硝子軟骨組織を創成することである。 そのために、補強粒子かつ細胞分化の増強因子として作用するラテックスナノ粒子(弾性率 1 MPa)を用いて、ヒト間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化し、それを成熟されることで力学特性を評価可能な大きな細胞集塊(直径 1 mm程度)の創成に成功した。くわえて、人体にアレルギー反応を引き起こすことのない低いラテックス濃度において軟骨組織の3次元培養条件を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、以下の項目について精査する。 (1)ヒト間葉系幹細胞が軟骨細胞に分化するマーカー遺伝子群の発現解析 (2)ラテックスが導入された新しい軟骨組織の弾性率の評価 (3)低酸素環境下における軟骨細胞分化誘導効果の評価
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入が少なかったため。次年度に使用するため。
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